財務省が人口や経済の動態に応じて医療費給付率を自動的に調整する仕組みの検討を主張したことを受け、日本医師会の横倉義武会長は1日の会見で、「経済成長ができなかった場合に、負担を患者に押しつけようという提案で、あまりにも無責任だ」と批判した。
給付率自動調整は、財務省が財政制度等審議会財政制度分科会に提案している仕組み。現役世代人口の減少を見据え、支え手の負担能力を超えるような医療費の増加があった場合、一定のルールに基づき自己負担割合を引き上げるもので、公的年金における「マクロ経済スライド」を医療保険に導入するという発想だ。4月19日に開かれた社会保障審議会医療保険部会では、医療者側、保険者側の双方から慎重論が出されている。
会見で横倉氏は、財務省の提案に対し「我が国は欧州諸国に比べて国民負担率が低い。仮に経済成長が進まなかった場合には、社会全体の負担率を調整することでカバーすべきと考える」と反論。支え手を増やすためには、働き方改革の実行などによって高齢者の社会参加を進めることが重要になるとの見方を示した。