皮膚・筋肉・関節・肺・心臓に炎症が生じる全身性自己免疫疾患である多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)/臨床的無筋症性皮膚筋炎(CADM)では,疾患に特異的な自己抗体(MSA)が多くの患者で認められる
MSAの測定は,あくまでも診断の補助的なものであり,身体所見およびその他の検査所見と併せて,包括的にPM/DM/CADMの診断を行う
MSAの測定は,PM/DM/CADM患者の臨床経過,治療反応性,併発症および予後を予測できるきわめて有用なツールである
抗ARS抗体と抗MDA5抗体は間質性肺病変の併発と,抗TIF1-γ抗体は悪性腫瘍の併発と強い関連がある
本来,微生物など異物より自己を守るために機能している免疫が,遺伝的素因およびウイルス感染など環境因子により,自己の皮膚や筋肉に対して反応し,皮膚炎や筋炎をきたす膠原病が,多発性筋炎(polymyositis:PM)/皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)である。PM/DMに罹患した患者は,筋炎による筋肉痛や筋力低下を自覚し,肩の挙上,坐位からの立ち上がり,寝返り,階段の昇降など日常生活動作に支障をきたす。
また,手指・肘・膝の関節伸展部に落屑を伴う紅斑(ゴットロン丘疹・徴候),上眼瞼に浮腫を伴う紅斑(ヘリオトロープ疹)といったDMに特徴的な皮疹を認めるも,臨床的に筋症状を認めない,ないし乏しい場合には,臨床的無筋症性皮膚筋炎(clinically amyopathic DM:CADM)と診断する。