著: | 中村健一(ドクターケンクリニック 院長) |
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判型: | A4判 |
頁数: | 272頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2025年03月14日 |
ISBN: | 978-4-7849-5193-2 |
版数: | 第2版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
☆大好評書が待望の改訂です。新薬が登場したアトピー性皮膚炎、多汗症などを中心に、最新情報にブラッシュアップ。
☆小児における鑑別診断の考え方を解説するとともに、各種疾患の対処法を貴重な写真を添えて詳述。疾患解説は最低限マークするべきものを厳選することで、日常診療の実態に沿った実践書となっています。小児で重要な保護者への説明についても多くのページを割きました。
☆さらに、小児皮膚診療に必要な機器、皮膚科で使われる独特な用語の解説、薬剤の使い方、レセプト請求のコツ、紛らわしい疾患の鑑別、難しいケースの対処法などなど、第一線の皮膚科診療所で毎日多くの症例をこなす筆者が、小児皮膚診療に必要な情報を惜しげもなく開陳しました。中村先生節、健在です。
第1章 小児皮膚診療の基本
はじめに
Ⅰ 小児皮膚診療を始めるために必要なアイテム
Ⅱ 所見の取り方─ 紅斑? 紫斑? 毛細血管拡張? どう異なる?
Ⅲ 薬剤について
Ⅳ レセプト請求と法律について
第2章 小児皮膚診療FAQ
小児皮膚診療FAQ
第3章 小児皮膚疾患の鑑別診断
小児皮膚疾患の鑑別診断
第4章 患児の疾患別 診断・対処法紹介
Ⅰ 細菌感染症
1 伝染性膿痂疹
2 多発性汗腺膿瘍
3 毛包炎,せつ,よう
4 ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS:staphylococcal scalded skin syndrome)
Ⅱ ウイルス感染症
1 麻 疹
2 風 疹
3 突発性発疹
4 Gianotti-Crosti(ジアノッティ・クロスティ)症候群
5 伝染性単核球症
6 伝染性紅斑
7 手足口病
8 水 痘
9 帯状疱疹
10 単純ヘルペス,カポジ水痘様発疹症
11 ウイルス性乳頭腫(疣贅=いぼ)
12 伝染性軟属腫
13 砂かぶれ様皮膚炎
Ⅲ 真菌感染症
1 足白癬などの白癬感染(皮膚糸状菌感染症)
2 カンジダ症(特にオムツ部)
3 スポロトリコーシス
Ⅳ 虫による疾患
1 疥 癬
2 アタマジラミ
3 蚊などによる虫刺され
Ⅴ 湿疹皮膚炎
A. 病名のある湿疹皮膚炎
1 接触皮膚炎
2 アトピー性皮膚炎
3 おむつ皮膚炎
4 脂漏性皮膚炎
5 手湿疹
6 貨幣状湿疹
7 その他 有名な湿疹皮膚炎
B. 病名のない湿疹皮膚炎
C.「 汗」の関与する湿疹皮膚炎
Ⅵ 食物アレルギー・アナフィラキシー・ 蕁麻疹・薬疹
1 食物アレルギー・アナフィラキシー
2 蕁麻疹
3 薬 疹
Ⅶ 母斑,色素斑,先天性疾患,腫瘍など
1 普通のホクロ(母斑細胞母斑はメラノーマになるのか?)
2 太田母斑
3 カフェオレ斑,扁平母斑
4 幼児血管腫(イチゴ状血管腫)
5 単純性血管腫(ポートワイン母斑,サーモンパッチ,ウンナ母斑)
6 脂腺母斑
7 毛母腫(石灰化上皮腫)
8 肥満細胞腫,肥満細胞症
9 その他
Ⅷ その他
1 尋常性白斑
2 尋常性痤瘡
3 円形脱毛症
4 抜毛癖(抜毛症)
5 熱傷,外傷の処置
6 陥入爪,巻き爪─ 間違いだらけの治療法をしていませんか?
第5章 よく出会う 外来実践問題演習
Ⅰ 診断クイズ
Ⅱ 症例から学ぶ難しいケースの対処法
Column
皮膚の色とは何か? 紅斑・紫斑・色素斑・白斑の病理組織学
原発疹のいろいろ
記載皮膚科学で役に立つ表現法
小児疾患診断の特殊性
新しい疾患は,まず開業医のところへ来る
孫子の兵法は,小児皮膚科の鑑別診断でも役に立つ
抗菌薬の使用法─ 第1世代? 第3 世代?
多発性汗腺膿瘍と化膿性汗腺炎
重症型細菌感染症,およびその類似型
ショックと名のつく病名 ─TSS,STSS,NTED
癜風,マラセチア毛包炎
黒ゴジラと白ゴジラ
いわゆる「乳児湿疹」
川崎病
母斑と母斑細胞は異なります
衝撃本『まるわかり創傷治療のキホン』の読み方
初版から10年の歳月が経過しようとしています。その間,驚くべき変化が起きています。AIとネット情報で医学の知識は瞬時に手に入ります。 お薬を例にとると添付文書はすべてネットで確認できます。最近では「電子化された添付文書を参照してください」という表現……多くなってきました。ご存じですよね。そして,わからない単語,たとえば「JAK-STAT回路」で検索するとAIがある程度まとまった解説を用意してくれます。
本屋さんで調べる, あるいは「参考文献」を図書館で調べる……より「AIの情報」「参考URL(=webサイトなどからの情報)」が重要なのです。特に新規感染症などは書籍より厚労省,国立感染症研究所,〇〇大学医学部感染症内科などのサイトが絶対的ですよね。
さらに「ガイドライン」全盛です。『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024』など,なんと103ページもあり,参考文献だけで610に上ります。以前はわずかな疾患だけだったガイドラインが今や独り歩きして大変です。いったいいくつガイドラインがあるのか筆者もよくわかりません。主要な疾患はガイドラインが重要なのです。しかも膨大な情報量です。データベースとしてはこんなに都合の良いシステムはありません。猛烈に重宝します。
知識はどんどん増加し,さらにどんどんどんどん情報が入ってきます。ついでにフェイクも入ってきます。AIも「平気な顔で嘘をつく」ことがあります。どの情報が果して正しいのか……。情報をすべて網羅すると何が生じるか……? 情報の消化不良を生じてしまいます。かえって臆病になり,実際の外来では何もできなくなってしまいます。いったい臨床現場ではどうしたら良いのか……さっぱりわかりません。「あれもこれもいろいろあるよ。あとはあなたが勝手に決めてね」ということになりかねません。
この本では日常診療で遭遇する頻度の高い疾患に絞り,さらに「思い切って,こうしてみよう!」という提案がぎっしりです。特に新規薬剤が雨あられのアトピー性皮膚炎の項目は全面的に新しくなっています。
お読みいただけるとわかりますが,確かに言い過ぎな面も多々あります。しかし,実際の臨床現場で危ない目に遭わないための「大胆な提言」「ひとつの意見」と考えて読んでいただけるとうれしいです。
2025年1月
中村健一