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jmedmook91 あなたも名医! ピンチを乗り切る関節リウマチ診療

あらゆるタイプの「難治性」関節リウマチへの対処法がわかる!

定価:3,850円
(本体3,500円+税)

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編: 萩野 昇(帝京大学ちば総合医療センター第三内科学講座(リウマチ)講師)
判型: B5判
頁数: 184頁
装丁: カラー
発行日: 2024年04月25日
ISBN: 978-4-7849-6691-2
付録: 無料の電子版(HTML版)が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

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◆ 難治性関節リウマチの場合、標準的な治療法が効果を示さないことが多く、新しい知識と治療法を学び続ける必要があります。また臨床現場には様々な理由から、そもそも標準的治療法が適応できない患者さんも大勢来院します。
◆ 本書では狭義の難治性関節リウマチのみならず、「メトトレキサートが使用・継続できない」「生物学的製剤が無効」といったケースや、慢性感染症や肺障害などの疾患がある患者、高齢者や妊娠希望者、経済的な問題のある患者など、あらゆるケースについて専門家がわかりやすく解説しています。
◆ 臨床現場ですぐに役立つ実践的な知識が詰まった、関節リウマチの診療に携わる先生必読の一冊です!

本書は、Webコンテンツ(PDF版+HTML版)としても別途ご購入いただけます


目次

第1章 総論
1. 現在の関節リウマチ治療
2. D2TRAとは何か

第2章 診断・評価・治療
1. 関節リウマチの診断
2. 筋骨格超音波検査
3. 疾患活動性の評価・治療目標(T2T再訪)
4. メトトレキサート
5. メトトレキサート以外の従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARDs)
6. 生物学的製剤
7. JAK阻害薬
8. 関節リウマチにおけるステロイド(全身投与・局所注射)
コラム 関節リウマチと骨粗鬆症
コラム 関節リウマチと疼痛(central pain / sensitizationを含む)
コラム 血清陰性関節リウマチ:診断は適切か

第3章 難治性関節リウマチに挑む
1. メトトレキサートが使用できない・継続できない
2. 生物学的製剤・JAK阻害薬が無効
3. 慢性感染症があるRA 患者・感染症ハイリスクRA患者のマネジメント
4. 肺障害がある関節リウマチ
5. 腎障害がある関節リウマチ
6. 高齢者の関節リウマチ
7. 担がん患者の関節リウマチ
8. 妊娠希望者(WoCBA)の関節リウマチ
9. 経済的理由でtsDMARDsが使用できない

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序文

巻頭言

関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)の治療選択肢が広まった現在においても,難治性関節リウマチ(difficult-to-treat RA;D2TRA)は,リウマチ科医や患者にとっていまだに大きな挑戦です。本書は,この困難な病態に焦点を当てた特集号となります。

1. D2TRAを作らないために
RAの早期発見と早期治療の重要性は,病態の進行を遅らせ,患者の生活の質を向上させるために不可欠です。より早期からの治療介入はRAの長期予後を改善するという知見から,最近では“preclinical RA”,すなわちRAの分類基準をいまだ満たさないが「満たすリスクが高い」一群の関節炎患者に対する治療介入が試みられています。その結果の一部は本書でも紹介していますが,今後の研究課題と言えるでしょう。
メトトレキサートは,多くの患者にとっての第一選択薬であり続けています。加えて,生物学的製剤やJAK阻害薬などの治療薬を適切に使用することで,21世紀のRA臨床は前世紀とは比べものにならないほどの進歩を遂げたと言えます。本書ではそれらの薬物療法の“state-of-the-art”を総説しました。

2. D2TRAを治療するために
しかし,ごく一部のRA患者において,適切な薬物療法にもかかわらず,医師・患者の期待する効果が得られないことがあります(狭義のD2TRA)。
肺障害や腎障害を有するRA患者に対する治療はさらに複雑です。これらの合併症を持つ患者は,特定の治療薬が使用できない,あるいは副作用のリスクが高い可能性があります。本書では,これらの個々の患者群に焦点を当て,最適な治療戦略を模索します。
また,高額な窓口負担は,多くのRA患者にとって障壁となっています。治療の選択肢が増えることは望ましい進歩ですが,それらが広く利用可能であることが重要です。本書では,経済的な側面も考慮し,すべての患者が適切な治療を受けられるような持続可能な解決策を探求します。
本書は,専門領域にかかわらず,日本全国でRA実地臨床に携わる先生方に有益な情報源となることをめざして編纂されました。最新の知見と臨床経験を融合させ,D2TRAの治療を改善し,RA患者の生活の質,そして生命予後を向上させるための一歩を踏み出しましょう。


2024 年3 月吉日
帝京大学ちば総合医療センター第三内科学講座(リウマチ)講師
萩野 昇

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レビュー

【書評】jmedmook91 “D2TRA”アップ・トゥ・デート『ピンチを乗り切る関節リウマチ診療』

大岩 寛 (広島市立広島市民病院リウマチ・膠原病科主任部長)
「すべてのリウマチ医に対し、目の前の状況を打開するヒントを与える一冊

昨今,「難治性関節リウマチ(difficult-to-treat rheu-matoid arthritis:D2TRA」と言えば○〇薬の早期使用を謳うメーカー主催の講演会が多い中,あまりその手の影響を感じさせないレビュー雑誌が出版されたようだ。持続的寛解が現実的なものとなったリウマチ外来において,D2TRAはいまだに心苦しい状況であり続けている。ステロイドの使用はphase Ⅰだけにしておきましょう,といった教科書的なルールを超越した難題がまさにD2TRAであり,現代のunmet needsと言えよう。私の外来でもすぐに思い浮かぶのは,低用量ステロイドはもちろん,すべてのJAK阻害薬を投与しても低疾患活動性に至らず身体機能が蝕まれつつある患者たち……。外来診療を始めたばかりの若手医師も,つらく厳しい状況を経験しつつあるのではないだろうか。

本書は,そのD2TRAに立ち向かうことを目的として編集された。初めに欧州リウマチ学会(EULAR)推奨を踏襲した形の日本のRA診療において,一味違う米国リウマチ学会(ACR)ガイドラインの特徴を紹介しており,私たちの現在の診療の根拠や他の選択肢の可能性について考えさせられた。次いでD2TRAの定義から,さらなる分類の提案,各々の病態への合理的な対処法がレビューされている。D2TRAに出会ったら「まず診断を見直してみましょう」とは,耳に痛い話である。X線変化が明らかとなって初めて,乾癬性関節炎であったのか……と悟った経験が思い起こされた(その点,本書は血清陰性関節リウマチの診断に警鐘を鳴らすものであった)。

また,専攻医にとっても基本的なtreat-to-target(T2 T)の考え方,基本的な薬剤のエビデンスが解説されている。ステロイドの局所投与についてのまとめは,いかにもD2TRAの目的にかなったものである。難治性RAの候補になりうる慢性感染症や肺・腎障害の合併例について問題提起と解決策が述べられており,読み応えがあった。担がん患者や経済的弱者までも取り上げられており,実臨床の難治性RA患者像が網羅されている。

本書はすべてのリウマチ医にとって,目の前の如何ともしがたい状況を打開するためのヒントを与えてくれるであろう。

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