ソリリス(一般名エクリズマブ)は2006年に発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、2010年に非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、昨年12月に全身型重症筋無力症の承認を取得した抗補体モノクローナル抗体製剤。同剤は、髄膜炎菌感染症の発生率を1000〜2000倍増加させることが知られており、日本ではPNH 患者2名の死亡が報告されている。そのため、日本腎臓学会、日本血液学会、日本神経学会は4月24日、ソリリス使用時の注意・対応事項をまとめ、公表した。
それによると、髄膜炎菌感染はワクチン接種でも防げない場合があり、高熱が出た場合は髄膜炎菌感染を疑って早急に検査を行い、抗菌薬の投与を検討することが重要と強調。特に侵襲性髄膜炎菌感染症は髄膜炎症状を伴わない菌血症として突発的に発症することがあり、発症直後は白血球増多やCRP上昇もなく、インフルエンザや感冒との鑑別が難しく、24時間以内の早い経過で敗血症により死亡しうる急性劇症型があると注意喚起した。
なお、治療に関して日本神経学会は「重症筋無力症ではキノロン系抗菌薬は慎重投与」と紹介し、内服薬を手持ちさせる場合には他の抗菌薬の考慮を要請している。