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びまん性大細胞型B細胞リンパ腫[私の治療]

No.5283 (2025年07月26日発行) P.42

棟方 理 (国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科/病棟医長)

登録日: 2025-07-24

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  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)は,悪性リンパ腫の中で最も頻度の高い病型で,非ホジキンリンパ腫の25~35%を占める。発症年齢の中央値は70歳代であり,やや男性に多い。月単位で増大するアグレッシブリンパ腫に分類される。

    ▶診断のポイント

    DLBCLを代表とする悪性リンパ腫は,全身のあらゆる臓器に発生する可能性があるため,多彩な臨床症状を呈し診断特異的な症状はない。悪性リンパ腫の全身症状としてB症状(発熱・体重減少・盗汗)が有名であるが,その頻度は約30%程度である。月単位で比較的急速に増大するリンパ節腫脹・腫瘤性病変を認める場合には本疾患を念頭に置き,病変部位からの生検検体による病理組織学的診断を速やかに行うことが重要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    臨床的にDLBCLを含むアグレッシブリンパ腫が強く疑われる場合,遅滞なく病変部位からの生検を実施する。悪性リンパ腫の病理組織学的診断においては,形態および免疫組織化学のみならず,ホルマリン固定した組織では調べられない細胞表面抗原検査や染色体分析・FISH検査などの情報も必要になる。そのため,採取直後にすべての検体をホルマリン固定しないことが肝要である。

    DLBCLの病理組織学的診断が確定した後は,Lugano分類に基づき頸部~骨盤造影CT,FDG-PET/CT,骨髄検査(生検・穿刺)を病期診断のために実施する。DLBCLは上部消化管に病変を有する場合も多く,上部消化管内視鏡検査も可能な限り実施する。また,がん薬物療法による心毒性のリスクがあるため,事前に心臓超音波検査を実施し心機能を評価しておくことも必要になる。

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