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浮腫

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2023-04-05
吉澤 城 (慶應義塾大学医学部救急医学教室)
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  • ■治療の考え方

    軽度の浮腫の場合は,治療に緊急性はない。

    浮腫の急速な改善は,循環虚脱・腎不全を引き起こす可能性がある。

    原則として1日500~750g程度以下の体重減少を目標とする。

    ■病歴聴取のポイント

    原因:全身浮腫の発生機序は,Starlingの法則から,①静水圧の上昇,②血漿膠質浸透圧の低下,に分類すると理解しやすい。静水圧が上昇する原因として,心不全,腫瘍・炎症・血栓などによる静脈の閉塞がある。膠質浸透圧が低下する原因としては,肝硬変,腎不全,ネフローゼ症候群,蛋白漏出性胃腸症,栄養障害がある。

    随伴症状:うっ血性心不全では,呼吸困難をきたすことがある。

    既往歴:腎不全,心不全,肝硬変,ネフローゼ症候群など,全身浮腫をきたす既往の有無を聴取する。

    Ca拮抗薬や非ステロイド性抗炎症薬など,浮腫の原因となりうる薬剤の内服歴を聴取する。

    その他:食塩摂取量,尿量の推移,体重の変動,自覚症状の推移などを聴取する。また,起床時の眼瞼浮腫の有無を確認するが,診察時にはないことが多い。

    ■バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    重度の浮腫では,呼吸・循環に障害をきたす可能性があるため,呼吸数,血圧,心拍数,酸素飽和度を確認する。

    【身体診察】

    浮腫の診察は,下腿脛骨前面や眼瞼で行う。

    局所浮腫の場合は,左右差,炎症の有無に注意する。

    視診で発赤の有無,触診で熱感・圧通の有無を確認することも重要である。

    毛細血管圧の上昇,低アルブミン血症,血管透過性の亢進,初期の甲状腺機能亢進症・リンパ性浮腫など,ほとんどの浮腫でpitting edema(圧痕性浮腫)となる。

    圧痕を残さずに回復するnon-pitting edema(非圧痕性浮腫)は,甲状腺機能低下症で特徴的である。

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