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急性心不全

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-14
佐藤直樹 (日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科教授・集中治療室室長)
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  • ■疾患メモ

    冠動脈疾患,心筋症,弁膜症,心膜炎,先天性心疾患,頻脈性不整脈などにより,左室拡張終期圧上昇を伴う血行動態的うっ血を呈し,進行すると臨床的うっ血を呈し,症候性となる。

    主病態は,①肺水腫,②体液貯留,③低心拍出,の3つに集約できる。

    予後はきわめて不良であり,1年死亡率および心不全再入院率はそれぞれ約20%でがんに匹敵する。

    予後改善のために,最近では少なくとも臨床的うっ血を生じてからできるだけ早期に適切な加療を行うことが推奨されている1)

    急性冠症候群では,まずは診断を行い,それ以外の急性心不全については以下の流れを参考に治療を行う。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    肺水腫:労作時息切れ,発作性夜間呼吸困難,起坐呼吸の順に重症。

    体液貯留:浮腫,特に下腿の浮腫,体重増加。

    低心拍出:倦怠感,腹部膨満,意識障害。

    【検査所見】

    脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP):100pg/mL以上が基準値。N末端proBNPは,300pg/mL以上が基準。

    心臓超音波検査:拡張能は,左房径,e',E/A。収縮能:左室駆出率,壁運動異常。各弁膜症の重症度評価。右室機能評価。下大静脈径および呼吸性変動により血管内容量の評価。

    心電図:調律,不整脈,QRS幅(非同期性の指標),加算平均心電図やT波交互脈検査でリスク評価。

    そのほか:基礎心疾患の治療を行うための冠動脈造影検査,心臓MRIなどを行う。

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