□肺動脈狭窄(pulmonary stenosis:PS)は,その程度により症状や経過が大きく異なる。
□最重症のPSは,右室圧が体血圧を上回り,三尖弁閉鎖不全によって右房圧が上昇し,静脈血が卵円孔を右左短絡してチアノーゼを示す,中には右室低形成の症例も存在する。
□軽症例では軽度の心雑音のみでほとんど右室圧が正常の症例もいる。
□各病状に適した対応が必要とされる。
□重症症例では乳児期より右心不全を呈し,卵円孔が開存している場合にはチアノーゼを合併することもある。しかし,中程度の症例では右室圧がそれなりに上昇していても幼児期や学童期には無症状で経過する症例が多い。それを放置すると,女性は妊娠により容量負荷が加わったときに心不全が顕性化することがある。
□小児期には軽症であっても,身体の発達や動脈硬化による肺動脈弁の硬化と,長期に右室が高圧にさらされたことによって生じる右心機能の低下により,中高年期に右心不全を呈する症例を認める。この時期にPSの解除を行っても,症状はある程度改善するものの既に不可逆的変化を起こしてしまっていることが多い。QOLの確保には心不全症状を呈する前の予防的治療が有用である。
□過大なバルーンを用いて中程度以上の肺動脈閉鎖不全をつくらない。バルーン拡大時に肺動脈弁の位置にウエストが生じ解除されたら、術後圧格差測定時荷圧格差が残ってもそれ以上の拡大は行わない。
□オーバーサイズバルーンカテーテルによる過度の肺動脈逆流の合併をつくらない。
□異形成弁では無効である。
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