□胆嚢結石症(cholecystolithiasis)は,胆嚢内で胆汁中の成分が析出・凝集した結果,固形物となった疾患の総称である。
□胆石症の約80%を占め,全人口の約10%に認められるcommon diseaseである。年齢,女性,肥満,白人,多産婦,脂質異常症,急激なダイエット,胆嚢機能低下,腸管機能低下は結石形成に関連する因子である。
□結石は構成成分により分類される。コレステロール石は,胆汁中コレステロールの過飽和,胆嚢収縮能の低下等により水溶性粒子(ベシクル)の破綻を経て疎水性であるコレステロールが析出し結晶化する。一方,色素石の形成機序は,明確ではないが,胆嚢内の炎症・感染の存在がビリルビンの脱抱合を促し,不溶化,結晶化をまねくと考えられている。
□胆嚢結石症の約8割は無症状で経過する。健康診断時の超音波検査(US)で偶然発見されることが多い。
□顕症化の典型例は,食後や夜間,突然の右季肋部~心窩部の仙痛で発症し,30分~2時間程度持続する。
□背部・右肩甲骨部への放散痛や悪心・嘔吐を伴うこともある。
□身体所見として,右季肋部叩打痛,右季肋下を圧迫した状態で深吸気をすると痛みのため呼吸が止まるMurphy徴候が特徴的である。
□疼痛に加えて,発熱,黄疸を併発するとCharcotの3徴と呼ばれる。これは,急性胆嚢炎の合併を意味している。Charcotの3徴に加えて,ショック,意識障害が認められるとReynoldsの5徴と称し,急性閉塞性化膿性胆管炎(AOSC)の合併を示唆している。
□胆嚢結石の存在診断は,USが最も低侵襲かつ有用である。典型的なエコー像として,体位変換にて移動する高エコー域と後方の音響陰影(acoustic shadow:AS)を認める。
□診断が不確実な場合,CT検査やMRI(MRCP),超音波内視鏡(EUS),内視鏡的逆行性胆管造影(ERCP)等の検査が有用である。しかし,純コレステロール石はUSで明らかであってもCT上描出されない。
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