□高尿酸血症に続発する痛風腎は,図のように分類される。
□急性尿酸性腎症(uric acid nephropathy):白血病や悪性腫瘍などの治療の際に大量の細胞崩壊などに伴い急激に血清尿酸値が上昇し(腫瘍崩壊症候群),腎からの尿酸排泄量が増加して,尿細管腔に尿酸が析出したことにより起こる。
□高尿酸性腎症(urate nephropathy):高尿酸血症が長期持続し,尿酸塩結晶が尿細管腔および間質へ沈着することにより起こる。
□このような背景から最近では痛風腎の定義を,「痛風・高尿酸血症に高率に合併する高血圧,糖・脂質代謝異常,肥満などの生活習慣病による腎障害も含めて,痛風・高尿酸血症に認められる腎障害」と広義に解釈する方向にある。
□また,若年発症の痛風の中に進行性の腎障害が発症し数年で腎不全に陥る症例があり,このような症例では家族性の高尿酸血症や痛風が認められることが報告されてきた。
□腎機能が低下するために生じる症状は他の慢性腎臓病と同様であり,かつかなり腎機能が低下してからでなければ出現しない。
□特徴的なことは,痛風関節炎,痛風結節あるいは尿路結石を合併することが多いことである。
□また腎の組織障害は尿細管・間質が主体であり,糸球体障害はあっても軽微であるため,大量の蛋白尿を呈することはほとんどない。
□尿路結石の合併が多いため,血尿の頻度は高率である。
□尿酸結石はX線透過性であるため,尿酸結石,腎への尿酸沈着を発見するためには腹部超音波検査が有用である1)。
□急性尿酸性腎症では急性腎障害(acute kidney injury:AKI)に加え,高カリウム血症,高リン血症,低カルシウム血症などの代謝異常を生じる。
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