□伝染性軟属腫は,ポックスウイルス(poxvirus)に属する伝染性軟属腫ウイルスによる皮膚感染症である。
□幼小児に好発するが,成人ではアトピー性皮膚炎や後天性免疫不全症候群(AIDS)患者にも認められる。
□兵庫県で行われているサーベイランスによると1),全国で年間100万人が伝染性軟属腫で医療機関を受診する。約90%が9歳以下の小児であり,季節は夏季,特に6~7月に多い。肌と肌との接触により感染する。特に皮膚バリア機能が低下したアトピー性皮膚炎患者が発生しやすい。スイミングスクールでの直接皮膚接触に加え,共有するビート板やタオルなどを介して容易に感染する。潜伏期間は14~50日といわれている。掻破による自己接触で多発する。成人は性行為によっても感染する。
□体幹や四肢に多発し,直径2~5mmの表面平滑で光沢のあるやや硬い正常色から淡紅色のドーム状に隆起する小結節である。本症に特徴的な中心がやや陥凹した臍窩を伴う(図1)。水々しい外観からみずいぼと呼称される。軽度のかゆみを伴う。
□単発性に数個ないし特定の部位に集簇する場合が多いが,全身に播種状に多発する例もある。
□軟属腫の周囲は乾燥してかゆみを伴う湿疹病変を呈する。
□成人の性感染症例は下腹部,陰部や大腿部に好発する。
□AIDS患者では大型や非典型的な皮疹,顔に多発する。
□臨床症状で診断するが,診断確定を兼ねて鑷子で圧すると白色の粥状物が容易に排出される。
□ダーモスコピー所見(図2)は診断に有用であり,全体的に白みを帯びた淡紅色調,中央が白色リング状,周囲に毛細血管拡張がみられる2)。
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