□多くは環状の病変が認められ,辺縁に炎症が目立つ。しかし,菌種によっては中心も炎症が強い場合がある。
□体部においては原因菌種が多様で,それぞれ疫学的に対処法が異なるため,菌の同定を要する。
□顔面から躯幹四肢に(手掌,足底,股部は除く),多くは類円形から弧状の紅斑褐色班が認められる。中心治癒傾向を示すことが多く,辺縁に紅斑,小水疱,鱗屑を有するものが多い。
□大きさは数ミリの小さいものから体全体を占めるほどのものまである。1箇所だけのものから数十箇所に及ぶものまで様々である。
□図1はMicrosporum Canisによる症例で,犬や猫などから感染する。好獣株による感染の場合,中心治癒傾向を欠き,局面全体に紅斑鱗屑を認めるものもある。
□耳の周囲に病巣が認められる場合には外耳道に病変が侵入していることがあり,耳鼻科的精査が必要となる(図2)。
□下顎,頸部にみられる症例(図3)はTrichophyton Tonsuransの感染による皮疹である。この菌は毛に感染しやすいことと,感染力が強いという特徴を有している。したがって,この菌による感染が疑われる場合には友人やクラブ部員,家族なども検査するのが望ましい。特に頭部に病変がある症例が多く,皮疹のないキャリア(潜伏感染)のこともあるため,ヘアブラシ法などで培養検査を行う必要がある。
□病巣辺縁部の炎症が強い部位からメスやピンセット,テープなどで鱗屑を採取し,苛性カリ液で浸透して顕微鏡で観察する。絞りを絞って観察すると,角質よりコントラストがある白癬菌菌要素が観察できる(図4)。
□しかし,顕微鏡所見からは原因菌種の同定はできない。培養や遺伝子解析により同定を行う。
□原因菌によって疫学的な治療,たとえばペットも同時に治療することなどが必要となる。
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