□カンジダ症はCandida属真菌によって引き起こされる感染症である。一般には深在性感染と浅在性感染に大別され,ほとんどあらゆる臓器を侵す。皮膚科で扱うのは皮膚と粘膜のカンジダ症であり,白癬についで多い皮膚真菌症である1)。
□Candida属真菌はヒトに親和性が強く,消化管,腟,口腔,咽頭などの粘膜や,健常皮膚(腋窩・陰股部などの間擦部位)の表面にしばしば常在菌として定着している。
□通常,酵母形の発育を行い,上記の部位などに普通酵母形として存在するが,組織内に侵入した場合には菌糸形発育を行うことが多い2)。これを利用して病巣由来の検体中に菌糸形の発育形態が観察されれば,その菌が起炎菌であることが示唆される。
□分類:カンジダ性間擦疹,乳児寄生菌性紅斑(おむつカンジダ症),カンジダ性指趾間びらん症,カンジダ性爪囲爪炎,爪カンジダ症,口腔カンジダ症,外陰・腟カンジダ症,その他,非典型的なカンジダ症。
□頻度:間擦疹が最も多く,ついで指間びらん症,口腔カンジダ症,爪囲炎の順である。
□最も多い間擦疹や乳児寄生菌性紅斑では小紅斑,時に数個の水疱や膿疱として発症し,しだいに拡大してびらん性紅斑と,その辺縁にはオブラート状の薄い鱗屑が付着する。また,その周囲に粟粒大の汗疹様の小紅斑や,小水疱または膿疱などの衛星病巣を伴うことが大きな特徴である(図1)。
□カンジダ性指間びらん症は水仕事の多い中年女性に多く,解剖学的に指間を広げにくい第3指間に生じやすい。辺縁に浸軟した鱗屑を付着する紅斑性局面を呈し,中央はびらんになることもある。
□カンジダ性爪囲爪炎ではカンジダ性指間びらん症と同様,水仕事の多い人の利き手,特に第2~4指に生じやすい。爪は基部が白濁し,その周囲の皮膚に発赤と腫脹を認め,悪化すると湿潤,排膿するが,細菌性のひょう疽のようには強くなく,圧痛も軽微である。長引くと爪甲の着色,表面の凹凸不整,横溝形成などの二次的変化を生じ,カンジダ性爪炎に至る。
□爪カンジダ症は稀な疾患ではあるが,足に生じた場合には爪白癬と臨床的に区別できず,直接鏡検でも鑑別困難で,真菌培養による鑑別を要する。
□診断において最も重要な検査は直接鏡検である。粘膜の常在菌であるため培養陽性のみでは診断の根拠にはならず,菌糸形の発育形態を証明することが必要である。
□鱗屑,小水疱蓋,小膿疱蓋などを検査すれば白癬よりも菌要素を見つけやすく,多数の胞子集団と少数の仮性菌糸が認められる(図2)。
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