□腰椎分離症は,発育期にpars interarticularis(椎間関節突起間部)の疲労骨折として発生するもので,癒合が得られず偽関節となれば腰椎分離症が完成する。分離症となれば,椎間板変性,あるいは終板解離を巻き込み,すべり症に進展することがある。
□分離症・分離すべり症の症状発現には多彩な病態が隠されている。ここでは,成人での分離症・分離すべり症を解説する。
□成人での腰椎分離症,分離すべり症の主症状は腰痛である。
□腰痛の原因は3種類あり,①分離部から隣接椎間関節に広がる滑膜炎,②変性椎間板によるdiscogenic pain(椎間板性の疼痛),③椎体終板炎(いわゆるtype 1 modic変化),である。
□下肢症状を呈する場合もあり,基本的には,分離部に生じているフック状の骨棘(ragged edge:分離部骨棘)が神経根を引っ掛け,牽引する刺激症状である。
□変性すべりとは異なり,分離すべりでは椎弓は遊離するため,椎弓で圧迫されることは稀である。すべりレベルで椎間板高が消失した際,いわゆるforaminal stenosis(椎間孔狭窄)となり,exiting nerve(神経根)障害が生じる。
□成人ではほとんどが終末期(偽関節)の分離症であり1),単純X線像の斜位像にてスコッチテリアの首輪サインを呈する。
□腰痛の病態診断にはMRIが必要である。特に,STIR(short TI inversion recovery)-MRIは腰痛の検索には必須である。また,下肢症状の病態確認にはCT像が有用となる(図1)。
□腰痛の原因を表にまとめる2)。
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