骨粗鬆症は,「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大する骨格疾患」と定義されている。骨強度は,骨密度と骨質の2つの要因からなる。原発性骨粗鬆症は加齢や閉経によりリモデリングが亢進し,酸化ストレスが増大した状態である。
画像検査,血液・尿検査を行い,骨密度検査による骨評価を行う。①脆弱性骨折がなく骨密度がyoung adult mean(YAM)の70%以下である場合,脆弱性骨折がある場合は,②椎体骨折または大腿骨近位部骨折以外の脆弱性骨折があり骨密度がYAMの80%未満の場合,③骨密度にかかわらず椎体骨折または大腿骨近位部骨折がある場合,を原発性骨粗鬆症と診断する。
脆弱性骨折を認めない症例では,①骨密度がYAMの70%より大きく80%未満で,骨折評価ツールFRAXⓇによる10年間の骨折確率15%以上または大腿骨近位部骨折の家族歴がある場合,②骨密度がYAMの70%以下の場合,薬物治療の開始が推奨されている。また,大腿骨近位部骨折または椎体骨折以外の脆弱性骨折がある症例では,骨密度がYAMの80%未満の場合,大腿骨近位部骨折または椎体骨折のいずれかがある症例では,骨密度の検査結果にかかわらず薬物治療を開始する。
初期より強力な治療を考慮する。
①骨密度がYAM 70%(-2.5SD)以下で1個以上の脆弱性骨折を有する,②腰椎骨密度がYAM 60%(-3.3SD)未満,③既存椎体骨折の数が2個以上,④既存椎体骨折の半定量評価法結果がグレード3,⑤過去2年以内の骨折や時期や部位を問わず複数の骨折の既往のある患者。
骨質を担保するような治療を考慮する。
①骨基質関連マーカー(ペントシジン)の上昇,②腹部大動脈石灰化が2椎体以上,③HbA1c 7.5%以上の糖尿病の合併,④eGFR 60mL/分/1.73m2以下の慢性腎臓病の合併。
③④は続発性骨粗鬆症とも関連する。
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