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“診療所だからできる”運動器リハ・運動指導の極意[骨折ファーストタッチ ─decision makingのための骨折の考え方─(46完)]

No.5265 (2025年03月22日発行) P.40

海透優太 (JCHO若狭高浜病院整形外科医長/臨床研修センター長)

登録日: 2025-03-19

最終更新日: 2025-03-18

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明日からの実践ガイド

▶骨粗鬆症や変形性関節症などの慢性疾患においては,薬物治療だけでなく,運動器リハビリテーション(運動器リハ)・運動療法が患者の機能維持・症状コントロールに大きく寄与します。しかし,日常診療の忙しさの中で,「どのように指導すればよいかわからない」「専門施設との連携の仕方が難しい」と感じる先生も少なくありません。そこで本稿では,診療所で“すぐに”取り入れられる運動器リハのエッセンスと,地域リソースの活用法をお伝えします。

診療所で行う運動療法の基本

▶運動療法といっても,大がかりな機器を要するものばかりではありません。まずは,「患者が自宅でも継続できる簡単なセルフエクササイズ」を提示し,日々の生活習慣に組み込んでもらうことが重要です。膝関節症であれば太もも周囲の筋力維持,肩関節疾患なら痛みの範囲内でできる可動域練習,腰痛患者なら骨盤周囲筋のストレッチなど,個々の患者に合わせたメニューを少量ずつ提案します。

▶たとえば,変形性膝関節症では「イスに浅く座った状態からのゆっくりとした立ち上がり,座りを1日5回×3セット」など,日常動作を兼ねたトレーニングが効果的です。紙やイラストで指導法を説明し,次回受診時にその効果や痛みの変化を振り返ることで,継続のモチベーションを支えます。

変形性膝関節症のかんたんエクササイズ手順書はこちらからダウンロードできます。

慢性腰痛のかんたんエクササイズ手順書はこちらからダウンロードできます。

限られた診療時間内での運動指導のコツ:1度の受診で多くのことを伝えようとすると患者も混乱しがちです。毎回「1つの運動」を提案し,次回にその実施状況を確認するという少量反復のスタイルがお勧めです。

説明資料の活用:診療所では看護師や事務スタッフの協力を得にくい場合もありますが,A4サイズ1枚のイラスト付き説明資料を数種類用意しておき,診察時に患者へ渡すだけでも理解度とモチベーションが上がります。

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