株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

筋性斜頸[私の治療]

No.5264 (2025年03月15日発行) P.48

平良勝章 (埼玉県立小児医療センター整形外科科長)

登録日: 2025-03-16

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 筋性斜頸(congenital muscular torticollis)の発生率は全出産の約0.3~0.5%で右側罹患がやや多く,性差については男児より女児にやや多い1)。発生要因には分娩時の外傷説や胎内の姿勢異常,炎症,阻血など諸説あるが,現在も一定の見解が得られていない。骨盤位分娩や難産児に多く,家族内発生例の報告もあるが,遺伝との関係性は不明である1)2)

    ▶診断のポイント

    新生児期,乳児期には斜頸位よりも頸部の腫瘤に気づき,受診する場合が大部分である。そのため,小児科医や,乳児健診から紹介されるケースがほとんどである。頸部の腫瘤は出生後1週間前後より出現して徐々に増大し,生後約3週間で最大となる。同時に頭部が患側(腫瘤側)に傾き,顔面が健側を向いて斜頸位を呈する。

    頭部の変形があるか否かは,先天性かどうかの判断のため重要である。就寝時の頸の向きについて,家族から聴取することも鑑別の手助けとなる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    約90%は自然治癒するため,経過観察でよい。しかし,ただ放置するのではなく頭蓋変形の予防や頸部運動を自然に促す目的で,寝かせ方や授乳の仕方などの育児指導が必要である。また,斜頸位により股関節の開排制限を伴いやすく,股関節脱臼や臼蓋形成不全に留意すべきである。自然治癒を期待できるのは1歳半くらいまでであり,それ以降は症状の改善は見込めない。

    残り1,341文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top