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ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-04-02
池上博泰 (東邦大学医学部整形外科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    第1背側伸筋腱区画の狭窄性腱鞘炎は,ドケルバン病とも呼ばれる。第1背側伸筋腱区画には短母指伸筋腱(EPB)と長母指外転筋腱(APL)が含まれるが,そのほとんどでEPBの狭窄や滑膜炎が生じている。

    女性の占める割合が約8割と多く,妊娠,産後,更年期によくみられる。

    茎状突起部痛が主訴で,稀に弾発を伴うこともある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    母指を使用したときに茎状突起部の痛みがあり,同部位の圧痛,腫脹がみられ,時に腫瘤を触れることもある。

    【検査所見】

    Finkelstein test:痛みの誘発テストとしてはFinkelstein testがよく知られている。母指を広げた状態で(外転して),手関節を小指側に曲げる(尺屈)と痛みが誘発されるかどうかを見る。従来,母指を手のひらに握りこんで尺屈する検査をFinkelstein testと解説している成書もあったが,これはEichhoff testと言う別の誘発テストである。

    単純X線:特に異常はないが,手関節橈側部に痛みのある他の疾患や,母指CM関節症,外骨腫,舟状骨骨折後偽関節などと鑑別する際には有用である。

    超音波:探触子を橈骨茎状突起上に単軸で当てて,腱鞘の肥厚を評価できる。治療に難渋しやすいといわれているEPBとAPLの間にある隔壁は,この超音波検査で明瞭に確認できる。

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