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下肢骨折[私の治療]

No.5250 (2024年12月07日発行) P.37

渡部欣忍 (帝京大学医学部整形外科学講座教授/同大学医学部附属病院外傷センター長)

登録日: 2024-12-08

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  • 大腿骨,脛骨,腓骨,膝蓋骨,そして足部の骨折が下肢骨折に含まれる。若壮年者は交通事故,労災事故,高所からの転落,スポーツ外傷で,高齢者は立った位置からの転倒以下の外力でも骨折する。骨折部と外界との交通の有無により,閉鎖骨折と開放骨折にわける。開放骨折は感染リスクが高い。

    ▶診断のポイント

    受傷部位を中心とした2方向単純X線像でほとんどの下肢骨折は診断できる。確定診断や治療計画のためにCTを行う。不顕性骨折の診断にはMRIが有用である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    患者の年齢,骨折部位,骨折型,軟部組織損傷の程度により治療法はまったく異なる1)2)

    牽引療法:乳幼児の大腿骨骨折では,牽引療法後にhip spica cast固定。

    保存療法:転位のない下腿骨折や小児の脛骨骨幹部骨折はcast固定。その他の下肢骨折は,原則として手術療法。

    開放骨折:緊急でdebridementを行う。確定的内固定を同時に行わないときには一時的創外固定3)などで待機する。感染予防のために,Gustilo type I/Ⅱに対しては狭域spectrumの抗菌薬を,type Ⅲに対しては広域spectrumの抗菌薬を投与。

    脱臼骨折:可及的速やかに整復。一時的創外固定などで待機後に確定的内固定。

    一時的創外固定3):受傷後すぐに確定的内固定が行えない開放骨折,関節内骨折,粉砕骨折に対して,骨長を保ち軟部組織損傷の悪化を防ぐ目的で行う。

    整復と確定的内固定:骨折部を展開して直視下に整復するか,透視下に整復する。内固定には,screw,pin,wire,cable,plate,intramedullary nail(IMN)を組み合わせる。

    人工関節手術(人工骨頭置換術を含む):粉砕が著しい,あるいは転位が大きい関節内骨折には,一期的に人工関節手術を行う場合がある。

    WEBコンテンツ「かかりつけ医が知っておきたい装具のはなし〜下肢装具利用患者で注意したいこと」

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