□足関節の外側靱帯(図1)が損傷される足の内がえし捻挫の頻度は高く,小児では前距腓靱帯付着部の裂離骨折を起こすことがある。外力の大きさにより前距腓靱帯,踵腓靱帯,後距腓靱帯の順に断裂し,損傷の程度はⅠ度(靱帯線維の微小断裂),Ⅱ度(靱帯の部分断裂,足関節の不安定性なし,歩行可能),Ⅲ度(完全断裂,不安定性あり,歩行不能)にわけられる。
□合併症には距骨滑車骨軟骨損傷,足関節内側靱帯損傷や浅腓骨神経麻痺などがある。損傷靱帯の不全治癒や繰り返し捻挫により足関節不安定症が生じると,変形性足関節症の発症要因になる。
□足関節外果部周辺に腫脹と疼痛があり,同部に強い圧痛を認める。時間の経過とともに腫脹は増強し,外果下方に皮下出血斑が出現する。疼痛のため足関節底屈運動は制限され,足を外がえし位にして疼痛を回避している場合は重度の靱帯損傷が疑われる。
□類似の受傷機序でも損傷部位が異なることがある。圧痛部位から二分靱帯損傷,リスフラン関節損傷などを鑑別する。
□足部が下腿に対し前方へ引き出される。健・患側を比較するとよい。なお,本手技は二次損傷を防ぐために緩徐に力を加え愛護的に行う。また,足関節に内反ストレスを加えると疼痛が誘発される(図2)。
□距骨滑車や外果の骨傷の有無を確認する。
□足関節の内反ストレスX線検査で距骨傾斜角(図2,正常値:0~10°)を,前方引き出しX線検査で距骨の前方引き出し距離(異常値>4mm)を計測する。
□前距腓靱帯は容易に描出され,損傷形態がわかる。
□骨挫傷,骨軟骨損傷など合併損傷の診断に有効である。
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