□本来,出生時男児では精巣が陰嚢内に収まっているのに対し,精巣が下降せず腹腔,鼠径管内,陰嚢頭側にとどまっている状態を停留精巣と言う。
□胎生5週に原始性腺より分化した胎児精巣は,そこから分泌されるテストステロン,インスリン様ペプチド3などの作用により,8~15週にかけて膨化する精巣導体と,26~40週に嚢状に発達する鞘状突起とともに下降する。
□発生頻度は出生時体重2500g以上では2.5%前後である一方,それ以下では20%とされる。また,37週以降の満期産では3.5%以下である一方,37週未満では30%近くとなる。
□視触診にて精巣が陰嚢内に触知せず,同側鼠径部に沿ったところに触知するか,まったく触知しない(非触知精巣)状態である。
□同側陰嚢の発育が悪いことが多く,陰茎の発育不全(矮小陰茎)や尿道下裂を伴っていることもある。
□非触知精巣では,消失精巣の鑑別の一助として対側精巣の代償性肥大の有無に注意する。
□非触知精巣に対する腹腔鏡手術の術前診断として従来,超音波検査,MRIが選択されていたが,最新のAUA(American Urological Association)のガイドラインでは不要とされている2)。
□両側性非触知精巣の場合,無精巣症の診断には出生直後のテストステロン低値,思春期前FSH高値などが参考となり,鑑別にはhCG刺激試験によるテストステロン値測定が有用である。
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