尿管瘤は尿管の遠位端が膀胱内,あるいは尿道内もしくはその両方で囊胞状に拡張した状態である。女児のほうが男児より3~7倍多いとされ,60%が左側で両側性は5~22%とされている1)。
本症の病態は多彩である。単一性かあるいは重複腎盂尿管に伴うものか,瘤自体の大きさや占める位置はどこか,尿路の通過障害をきたしているか,そして腎機能障害の有無はどうかなどが症例ごとに異なっており,そのアプローチも症例ごとに検討する必要がある。
分類には,単一腎盂尿管に伴う尿管瘤と重複腎盂尿管に伴う尿管瘤がある。重複腎盂尿管症例における尿管瘤の位置は,80%が上腎由来の尿管の遠位端である2)。また,尿管瘤の位置によって,瘤が膀胱内にとどまる膀胱内尿管瘤と,膀胱頸部を越えて尿道内に存在する異所性尿管瘤あるいは膀胱外尿管瘤に分類される。
尿管瘤の診断においては,瘤の大きさ,その位置,水腎水尿管の程度,膀胱尿管逆流(vesicoureteral reflux:VUR)を伴っているか否か,そして腎機能を正確に把握することがポイントである。それらを総合的に判断し,さらに臨床症状の有無,緊急性の程度によって治療方針を決定する。
尿管瘤の診断にまず重要な検査は超音波検査である。低侵襲にベッドサイドで施行可能であり,水腎水尿管の程度,そして膀胱内での尿管瘤の様子も観察可能である。
尿管瘤の診断ではVURの有無は重要な所見であり,この検査は不可欠である。重複腎盂尿管症例では同側の下腎由来の尿管の60~70%に逆流が認められる。
拡張した腎盂や尿管の走行と尿管瘤の全体像を把握するのに有用であるが,小児においては鎮静を要し,治療法を決定する上で必須ではないと考える。
尿管瘤が所属している腎臓機能や,VURによる腎瘢痕の有無を評価する。
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