□霰粒腫は,マイボーム腺分泌脂(meibum)のうっ滞によって生じる慢性・炎症性の肉芽腫である。
□典型的には,霰粒腫を生じているマイボーム腺の開口部は閉塞しており,meibumは分泌されない(図1)。まず,マイボーム腺開口部の閉塞が生じ,続いて,うっ滞したmeibumに対する肉芽反応(granulomatous reaction)が生じる。その浸潤様式には,皮膚側へ浸潤する場合(図2)と結膜側へ浸潤する場合(図1)がある。典型例では,脂肪滴を中心に,マクロファージ由来の類上皮細胞,多核巨細胞が取り囲み,さらにリンパ球や形質細胞の浸潤を伴う脂肪肉芽腫の組織像を呈する1)。
□瞼のしこり(隆起)に気づいて受診することが多い。発赤や腫脹といった炎症所見があり,疼痛を伴う場合には細菌感染を合併していることがある(急性霰粒腫)。
□典型例では,細隙灯顕微鏡検査にて,眼瞼皮膚側に隆起性病変,対応するマイボーム腺開口部の閉塞および眼瞼結膜の炎症を認める(図1)。
□眼瞼に生じる類似の腫瘤性病変には,表皮嚢胞がある。マイボーム腺開口部には明らかな閉塞はなく,眼瞼結膜側から観察した際に炎症は乏しく,白~灰白色の貯留物が認められるので鑑別できる。治療は,皮膚側から,嚢腫を一塊として剥離摘出する。また,若年者では,眼瞼の汗腺や毛根に感染を生じる外麦粒腫,マイボーム腺に感染を生じる内麦粒腫,高齢者では脂腺癌との鑑別が必要である。
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