□周辺部角膜潰瘍には特発性,膠原病性,カタル性が挙げられる。このうち発症頻度は低いが治療が適切でない場合,角膜穿孔から失明に至る重篤な疾患である特発性周辺部角膜潰瘍について解説する。一般的にはMooren潰瘍と称される。
□手術,外傷,感染等を契機に角膜組織に対する自己抗体産生により生じると指摘されている(自己免疫疾患)。
□急激な充血,眼痛,異物感,視力低下を自覚し受診する。
□片眼性,両眼性に発症する。最初は片眼性であっても,経過中に両眼発症になる例もある。
□好発部位は耳側,鼻側で,上方は少ないとの報告がある。
□発症早期は,周辺部角膜実質浅層に細胞浸潤がみられる。
□進行すると,角膜上皮欠損と角膜実質の菲薄化(角膜潰瘍)が起こる。
□潰瘍の隣接部位に,結膜浮腫・毛様充血がみられる。
□重症例では,輪部に並行して角膜潰瘍,角膜実質の菲薄化が進行し(全周性例は全体の6%程度との報告がある),角膜穿孔に至る。
□細隙灯顕微鏡での眼表面の観察では,特徴的な角膜潰瘍の形態が診断のポイントである(図1)。すなわち,実質浅層の掘れ込み(undermined),潰瘍縁の突出(overhanging edge)などをみる。
□確定診断では,膠原病(リウマチ,多発血管炎性肉芽腫等)による周辺部角膜潰瘍,Terrien角膜変性,カタル性角膜潰瘍を鑑別する必要性がある。リウマチ因子,抗核抗体,抗DNA抗体の陰性を確認する。
□疾患特異的なバイオマーカーはない。ただし,C型肝炎,寄生虫感染の関与示唆の報告がある。
□診断基準を表に示す。
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