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網膜中心動脈閉塞症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-30
寺﨑浩子 (名古屋大学大学院医学系研究科眼科学・感覚器障害制御学教室教授)
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  • ■疾患メモ

    網膜中心動脈閉塞症は,眼科における超緊急疾患である。視神経内を走行する網膜中心動脈が塞栓により閉塞するか,または炎症や粥状硬化による血管病変により血栓形成が起こって閉塞する。この場合,突然視力障害が発生し,しばしば光覚弁程度にもなる。網膜中心動脈分枝や毛様網膜動脈が閉塞した場合には,その支配領域に相当する部位の視野欠損と部位によっては視力障害を訴える。

    網膜動脈に栄養されている網膜内層の神経節細胞は,完全閉塞かどうかにもよるが,1時間で不可逆性になると言われている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    片眼が,ある時突然真っ暗になるか,視野が狭くなっていることに気づく。網膜中心動脈閉塞の完全閉塞では,視力はほとんど保たれず光覚を失うこともあるが,支配の異なる毛様網膜動脈が視神経乳頭縁から眼底に出て,ある領域を支配している幸運な例ではその領域の視野は保たれ,それが中心も含めば視力も保たれる。網膜中心動脈分枝閉塞ではその血管の支配領域の視野欠損が起こる。

    【検査所見】

    眼底検査:後極部が乳白色に混濁し,中心窩は赤くcherry-red spotを呈する(図1)。時間の経過とともに網膜の乳白色混濁肥厚はなくなり,菲薄化して,視神経乳頭は単純萎縮となる。初期においては光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)で網膜神経線維層の肥厚,反射の増強があり,それより後方の組織は低反射となる。日にちが経過すると網膜内層は菲薄化する。

    蛍光眼底造影:網膜中心動脈は造影されないか,蛍光色素の流入遅延を認める(図2)。

    17_44_網膜中心動脈閉塞症

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