□先天性耳瘻孔は,胎生期の耳介形成不全による先天性体表奇形であり,耳介および耳介周囲の瘻孔として認識される。その多くは無症状で経過するが,時に急性化膿性炎症をきたし,発赤・腫脹・膿瘍形成を伴うこともある。
□定説はないが,不完全優性遺伝とする報告もある。発生頻度は2.6%で,男子2.4%,女子3.2%とやや女性に多い。全耳瘻孔症例中26%が両側性で,好発部位は耳前部60.4%,前耳輪部28.8%,耳輪脚基部9%となっている1)(図1)。
□また全耳瘻孔症例中,感染既往例が6%,手術既往例が2%である1)。
□一般には,ほとんどが無症状で経過する。時に,瘻孔より臭気を伴った白色乾酪様物質(瘻孔上皮,皮脂腺や感染からの分泌物を成分とする)の排出を繰り返す例もある。
□少数ではあるが,急性化膿性炎症をきたすことがある。瘻孔周囲や,時に解剖学的距離をもって皮膚発赤がみられるほか,有痛性腫脹および膿瘍形成を伴えば波動を触れる。
□基本的には,視診ないし顕微鏡下による瘻孔の同定および周囲の感染性病態の合併の有無を確認する。
□すでに排膿している,または切開排膿した場合には,一般細菌培養同定検査および薬剤感受性検査を行う。
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