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唾石症[私の治療]

No.5286 (2025年08月16日発行) P.50

関根一郎 (旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座)

高原 幹 (旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座教授)

登録日: 2025-08-14

最終更新日: 2025-08-08

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  • 唾石症は唾液腺,唾液腺管内に脱落上皮・迷入異物・細菌・カルシウムなどで構成された結石を生じる疾患と考えられる。大唾液腺,特に顎下腺に好発するが,その理由として,顎下腺唾液内に結石の組成となるカルシウム・リン酸塩が高濃度に存在することに加え,唾液が粘稠であり,ワルトン管が長く腺体から頭側方向に走行するため,唾液の停滞が起こりやすいことが挙げられる。
    多くは食事時の唾液腺腫脹を呈し,感染を併発すると痛みを生じる。さらに進行すれば,腺内の膿瘍形成や唾液腺管開口部や皮膚からの排膿を生じる場合もある。自然排石による治癒もありうるが,炎症を繰り返す場合は摘出術の適応となる。摘出方法は皮膚切開によるものと口腔底粘膜切開によるものがあり,唾石の大きさ,性状,位置,患者の希望などにより選択される。

    ▶診断のポイント

    唾石が腺内あるいは唾液腺管内に嵌頓することにより,摂食時の有痛性唾液腺腫脹を生じる。特徴的な症状と口腔底と頸部の双手診における唾石の触知にて本疾患を疑い,エコーやCTなどの画像診断で確定する。顎下腺唾石の場合,唾石は顎下腺管内か顎下腺との移行部に存在する場合が多い。

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