□急性乳様突起炎は乳幼児に好発する疾患で,その多くは急性中耳炎のコントロールが不十分なために続発する疾患である1)。
□抗菌薬の普及とともに急性乳様突起炎の発症頻度は減少しているが,不適切な抗菌薬の長期投与や適切な鼓膜切開の機を逸したことにより生じる,隠蔽性乳様突起炎(masked mastoiditis)の症例が増加している2)。膿性耳漏や激しい耳痛などの典型的な急性炎症症状を伴わない隠蔽性乳様突起炎では,経過が長くなるため頭蓋内合併症などのリスクも高くなり,急性中耳炎に対する適切な治療法の再確認が求められる。
□耳痛,発熱などの症状に加え,耳介後部の発赤腫張を呈し,前から見ると耳介が立っているように見える。これを耳介聳立(じかいしょうりつ)と呼ぶ。
□典型的な急性乳様突起炎では,白血球の増多,CRP値の上昇,38℃以上の発熱を示す。これに対し,隠蔽性乳様突起炎では炎症に関わる検査値異常の程度が軽いため,病状の把握には注意が必要である。
□頭部CT:鼓室から乳突部にかけての軟部組織陰影に加え,側頭骨乳突部外側壁の骨破壊,側頭部での軟部組織の腫張が認められる(図)。側頭部骨膜下膿瘍,Bezold膿瘍,S状静脈洞血栓症,頭蓋内膿瘍などの合併症を確認するために造影CTを撮影することが望ましい。
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより