□先天性耳小骨奇形は,第1,第2鰓弓由来の耳介や外耳道の奇形を合併することが多く,全身性の複合奇形と合併することがある。
□ほかに奇形の合併がなく軽度の外耳道狭窄のみ認めるような場合は,両側性であれば言語の遅れにより発見されることもあるが,片側性の場合には学校健診等で指摘される場合が多い。
□症状は難聴である。染色体異常(ターナー症候群,ダウン症候群)や性感染症(sexually transmitted diseases:STD;先天性風疹症候群,先天性梅毒)によって内耳障害と合併して耳小骨奇形が認められる場合がある。
□問診:耳小骨奇形が疑われる場合は詳細な問診が必要である。いつからの難聴か,中耳炎の既往,家族歴の有無,非進行性か否か等を問診するが,小児では確認が難しい場合もある。
□鼓膜に異常のないことを確認し,外耳道狭窄や閉鎖はもちろん,耳介奇形の合併がないかを確認する。形態異常がたとえ軽微であっても,耳小骨奇形が合併するので注意を要する。
□標準純音聴力検査では,軽度から中等度の伝音難聴を認める。小児では標準純音聴力検査が困難な症例も多く,聴性脳幹反応(auditory brainstem response:ABR)や聴性定常反応(auditory steady-state response:ASSR)を必要とする場合もある。
□ティンパノメトリー:離断でAd型,固着でAs型を示すことが多いとされているが,正常のA型や鼓膜の内陥を示すC型もみられる。アブミ骨筋反射は消失する症例が多いが,反対側刺激で反射が認められる場合もある。
□近年,高分解能CTや3D-CTが用いられるようになり,耳小骨の大きな欠損があれば抽出できるようになったが,固着などの診断は困難である。また,耳小骨奇形に先天性真珠腫を合併することもあるので,耳小骨周囲の軟部陰影にも注意する必要がある。
□いずれの検査でも耳小骨奇形の術前診断には限界があり,術前に十分なインフォームドコンセントが必要である。
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