□老人性難聴は,加齢とともに進行する両側進行性の感音難聴であり,遺伝的素因や騒音曝露歴,喫煙などの環境因子も影響するため個人差が大きい。より高齢になると,聴力閾値に比して言葉の聞き取りがさらに悪化する。
□小さな音や高い音が聞こえにくく,また音は聞こえるが何を言っているかわからないことが多くなる。難聴は徐々に進行するため,初期には難聴を自覚しにくい。難聴が進行すると,特に騒音環境で言葉が聞き取りにくい,という症状が出現する。家族に,「テレビの音量が大きい」「聞き返しが増えた」と指摘され,難聴をあまり自覚しないまま受診することも多い。
□平均聴力レベルが40dBHLを超える中等度難聴になると,聞き取りにくいため生活上の不自由も自覚する。
□「ピー」「キーン」という高調性の耳鳴りを自覚することもある。方向感の精度も低下する。
□純音聴力検査:高い周波数ほど閾値が上昇する,高音漸傾型感音難聴(稀に高音急墜型感音難聴)が両側にみられる。聴力は左右ほぼ対称性であり,加齢に伴って徐々に進行する(図1)1)。一般に女性のほうが男性より難聴は軽度の傾向にある。聴力は高音域から障害されるが,徐々に低・中音域も障害される。
□難聴の発現時期や程度には個人差が大きい。語音明瞭度は静寂条件では聴力が悪化するにつれて不良となるが,高齢になるにつれて全体にさらに悪化する傾向にある(図2)2)。自記オージオメトリではJergerⅡ型またはⅠ型を示す。
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