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胎児発育不全(遅延)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-25
鮫島 浩 (宮崎大学医学部発達泌尿生殖医学講座産婦人科学分野教授)
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  • ■疾患メモ

    胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR)とは,妊娠中の胎児推定体重が該当週数の胎児体重と比較して明らかに下回る状態を示す疾患群の総称である。

    標準偏差で−1.5SD(7パーセンタイル)を下回るか,−1.28SD(10パーセンタイル)を下回る場合とされる。

    原因は多岐にわたり,母体,臍帯・胎盤,胎児のいずれかに原因となるリスク因子があるが,出生前に原因が判明することは少ない。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    胎児発育不全には,特に自覚症状はない。強いて挙げれば,「お腹が小さい」と自覚する妊婦もいる。

    【検査所見】

    他覚所見では妊婦健診で実施される以下の計測値が有用である。ここで重要な点は,以下①~③のすべてにおいて在胎週数の正確な決定が基本であり,必須であることである。

    ①子宮底長が在胎週数の標準値より短い。およそ妊娠20~30週前後まで,在胎週数と子宮底長(cm)は同じである。

    ②超音波画像による胎児計測値(大横径,長管骨長,腹囲,腹部面積など)が在胎週数よりも小さい。

    ③超音波画像を用いた推定体重が在胎週数当りの標準体重の7~10パーセンタイル未満,あるいは-1.5SD以下である。日本産科婦人科学会では超音波計測による胎児体重基準値を用い,-1.5SD以下を胎児発育不全診断の目安としている1)

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