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統合失調症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-26
福田正人 (群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学教授)
小野樹郎 (群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学)
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  • ■疾患メモ

    統合失調症は,人口の0.7%程度が罹患する頻度の高い病気で,対人関係,自我機能,表象機能という人間で特に発達した脳機能の障害を背景に,幻覚,妄想,自我障害といった特徴的な症状と,生活の支障が認められる。

    薬物療法と心理社会的治療の進歩により回復が格段に得られるようになり,当事者が望む生活と人生の回復を治療の目標とできるようになってきている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    幻覚妄想:自分を悪く評価し言動に命令する幻声,何者かから見張られ迫害を受けるという被害妄想。

    自我障害:自生思考や作為体験など,思考や行動における能動感と自他境界感の喪失。

    不統合:まとまりのない会話や行動など,目標に向けて思考や行動を統合することの障害。

    精神運動貧困:感情や意欲の低下を背景とした,思考や行動における自発性の低下。

    病識欠如:以上の症状についての自己認識と自己対処の困難。

    これらに基づく対人関係,身辺処理,職業・学業における機能低下がみられる。

    病態:幻覚妄想,自我障害,不統合という症状はそれぞれ,対人関係,自我機能,表象機能という,人間で特に発達した脳機能の障害を反映している。脳機能の発達に伴い,対人関係と表象操作が複雑となる思春期から青年期に,それまで統合失調症への脆弱性を代償してきた脳機能が,その脆弱性を代償しきれなくなり機能失調することで発症に至る。病因と病態については,日本神経科学学会によるサイト『脳科学辞典』に詳しい。

    【検査所見】

    特異的な検査所見はない。

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