病院では,病状説明や告知の場面に,子ども,すなわち幼少児や小学生,中学生のご家族が同席することはほとんどないのではないでしょうか? 一方,在宅医療の現場では,療養の場が「生活の場」でもあるため,日常的に子どもがそこにいます。それにもかかわらず,在宅医療の場合でも,「子どもにはわからない大事な話だから」と,病院と同じように子どもをその場から遠ざけてしまうケースが少なくないと思います。しかし,子どもも大切な家族の病状が悪くなっていることを敏感に感じ取り,不安を抱えているのです。患者さん本人やご家族への説明・告知と同様に,子どもに対しても適切なかたちで関わっていくことが,私たち在宅医療の支援者には求められるのではないでしょうか? 実際に,死別経験を持つ子どもたちへの長期調査では,「何も知らされなかった」ことに対する記憶や疑問が長く心に残るか,場合によっては,ショックでそのときの記憶自体がなくなるようなケースもあるという報告もあります。
では,在宅医療の現場で,私たち支援者は子どもたちをどのように巻き込み,どう伝えていけばよいのでしょうか? 今回は,実際に私が関わった3つのケースを通じて,「子どもがいる看取りの場面」における告知のあり方を考えてみましょう(図1)。