著: | 志賀 隆(国際医療福祉大学医学部救急医学講座准教授) |
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著: | 薬師寺泰匡(医療法人薬師寺慈恵会薬師寺慈恵病院副院長) |
判型: | A5判 |
頁数: | 192頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2019年12月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-5727-9 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
診療科: | 医学一般 |
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■後輩の指導方法
教育のアウトカムの設定
研修医はどんなことに悩み,どんなミスをしがちなのか?どこまで任せ,どこから介入するか?
精力的だったが,まわりから「意識高い」扱いをされ,燃え尽きそうな後輩への対応は?
主治医感の育成方法
救急に興味のない研修医とどう接するか?
英語が苦手な部下に対して,英語論文への苦手意識を払拭するのに工夫していること
■他院・他科・他職種との関わり
他科との攻防
院外での振る舞い方
他科とのコラボレーションのためには何が必要か?
他職種との関わり合い
臨床とマネジメントのバランス
■指導医自身について
部門長になるにあたり必要な知識
私のロールモデル
指導医の評価はどうするか?
アンガーマネジメント
自分自身の業務と後輩指導のバランスの取り方
レジリエンスの磨き方
保てている!? ワークライフバランス
後輩の気持ちを動かす先輩になる方法
研究・論文執筆までをどう成し遂げるか
おすすめの良書
■リクルート
職場の変更時の注意
どうやって人を集めるか
情報発信:ブログ・SNS のコツ
本音を言うと私は自分のキャリアの段階もあり,普段は商業的な書物の執筆を抑えよう! 抑えよう! としています。ただ,今回は「とても面白い企画で学びも多そう!」とお引き受けしました。その理由は「医師に向いていない!」「救急医じゃなくてゆっくりとした科にいけば?」「アメリカなんていったら,もずく(が好きな先生だったので)になるよ!」なんて言われたダメダメ若手医師の私がボス論について取り組めるからでした。しかも!「やっくん」こと薬師寺先生とまたとないコラボのチャンスなのです。やるしかありません。「やっくん」の素晴らしいところは,連載,ブログやtwitterでわかるように「本質をつかむ力=アフォリズム」「絶妙な表現力」「チームをまとめるリーダーシップ」などなど多々あります。みずみずしい感性と才能と(大物に必須な)エネルギーをお持ちで「凄いなぁ」と刺激を受けています。ということで,2人で日々の苦労や工夫を文字に起こし,チャット形式でディスカッションして仕上げています。
さて,日米でいろいろなボスにお世話になってきたトホホ医師の私の結論を短く表現しますと「エビデンスと経験の両立ができれば最強!」です。とはいえ,どうやって両立して行くかが具体的にわからないと前に進みませんので本書では「ブログやSNSのコツ」「レジリエンスの磨き方」から「研修医に任せろ任せろっていうけどどこまで任せたらいいの?」「ローテーションのはじめに救急に興味がない! と言われてそんな研修医をどう扱ったらいいのか?」「毎回トラブルを起こす機嫌の悪いあの科の先生をどう扱ったらいいのか?」まで我々が日々苦労する具体的な24個のトピックの解決案を2人で書いています。
本書を手に取られた医療職のみなさんは「反面教師にしてみせる!」「いつかは理想の部門を作って見せる!」「後輩をより速いスピードで成長させてみせる!」なんて思っているとっても素晴らしい方々かと思います。本書はそんなみなさんにやっくんと私で「いいなって思わせる上司のいい所のつまみ食い!」ができるようにと思って書きました。
いいボスであるためには常に努力が必要ですが,いいニュースがあります。ボス力は努力をすることで確実に上達するのです。
現在,私は「本質を見極めることができるか?」「同僚の成長と部門の成長を両立できるか?」「リーダー(自分自身)のコンディションは保たれているか?」を常に自分に問いかけながら日々を過ごしています。是非,編集部の村上さんプロデュースのもとで行われたやっくんと私の1年にわたる「毎月の熱いチャット」の成果をお楽しみください。
志賀 隆
「若いうちは金を払ってでも苦労しろ!」とか,「患者さんのためにひたすら鍛錬しろ!」とか,成長のための叱咤激励を受けながら日々の診療に勤しんでいる若手医師は多いと思います。しかし,医師としてキャリアを重ねると自分の成長だけ考えていれば良い時期が過ぎ,いつの間にか後輩ができ,教育に携わるようになり,チームを統率し,部門を統括し,さらには診療所や病院の運営を行い……と言うように,活動の幅が広がっていきます。多くの医師は臨床面で指導を受けることはあっても,「上司への道標」は示されること無しに,気がついたら上司になっているのではないでしょうか。どのように後輩教育をすればいいのか,組織を統率するために考えなくてはならないことは何か,他部署や他施設との連携をする上で考えなくてはならないことは何か。そんな部門長=BOSSになっていくにあたり必要な資質とはどんなものであろうかという疑問から本書は生まれました。
僕自身,部門長を経験することなく,病院運営を考えなくてはならない立場へと変化が求められています。共著者の志賀隆先生は,米国での経験をもとに日本で救急部門立ち上げに関わり,組織を実際に統率してきた救急医です。これからBOSSになっていく者の立場から様々な質問をし, その回答を元に道標を作っていく作業を行いました。僕のような若輩者からの意見も積極的に取り入れようとする姿勢は,まさに理想のBOSS像。ご一緒させていただけたことに感謝する次第です。
この1冊があれば組織の統率ができるようになるかというと,そんなに甘いものではないとは思いますが,上司になるうえでのヒントが散りばめられている書籍となりました。1人でも後輩がいる医師であれば,何らか得るものがあるのではないかと思います。昇格のときには喜びの反面,戸惑いもあると思われます。本書がキャリア形成するうえで出会う迷いや不安を,少しでも和らげられれば幸いです。
薬師寺泰匡