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■NEWS 従業員の雇用を守るため、補助金制度活用を呼び掛け 西日本豪雨災害で日本医師会

No.4918 (2018年07月28日発行) P.18

登録日: 2018-07-19

最終更新日: 2018-07-19

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日本医師会の石川広己常任理事は17日の定例会見で、西日本豪雨で被災し休業している医療機関の従業員の雇用を守るための補助金制度活用を呼び掛けた。

石川氏は、15日に岡山県と広島県の被災地を訪問したことを報告。それによると、岡山県の真備町で被災した12医療機関は壊滅状態であり、このうち、まび記念病院では2カ月程度、透析患者の受け入れが困難であるとの見通しが示されているという。

石川氏は、「今後は医療機関の復旧が焦点」と強調。「医療がなければまちの再建はない。日医として、地域医療・地域包括ケアシステムの復旧を全力で支援する」との姿勢を見せた。その上で、「休業している医療機関の従業員の雇用を守ることは復旧にとって非常に重要」だとして、災害による失業手当・休業手当を支払う場合に活用可能な厚生労働省の助成金制度を紹介した。復旧補助に関する制度はこのほか、厚生労働省の「医療施設等災害復旧費補助金事業」や経済産業省の「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業」があるとして、岡山・広島・愛媛県医師会にこうした情報を提供し、検討を依頼しているという。

石川氏は岡山県の方針について、(調剤にかかる報酬を県市町に請求する)災害処方箋から通常の保険診療に切り替えていくことを説明。真備地区では17日午後より移動診療所を、呉妹地区では24日より仮設診療所を開設する予定を明らかにし、こうした診療所でも保険診療が可能だと強調した。

岡山県出身の江澤和彦常任理事は避難所の状況について、「介護施設への入所が適切と判断される避難者と施設のマッチング作業が進んでいる」と報告。緊急的に搬送された医療機関から、患者の病状に合致する医療機能を持つ施設などへの移動も行われていると述べた。

■より迅速に支援を行うための体制整備が課題

石川氏は、西日本豪雨におけるJMAT活動の初動を振り返り、「他の支援団体よりも遅れた」と指摘。今後、会内の救急災害医療対策委員会で検証するとしつつ、被災県の依頼がないと全国へ支援の要請ができないシステムを問題視し、「被災県から依頼がなくても、被災県以外から成る先遣JMATを派遣するスキームを考えていきたい」との方向性を示した。なお、先遣JMATは、発災後1日以内に現地に駆けつけ被災地で求められる機能などを判断するチームで、同委員会が2月にまとめた報告書で提案された。

医療機関の復旧を全力で支援する姿勢を見せた石川氏

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