猛暑による熱中症患者・死亡者の増加を受け、日本救急医学会は20日、予防のための緊急提言を公表した。小児、高齢者、持病のある人を「熱中症弱者」として認識し、生活指導や屋外活動の可否判断に「暑さ指数」(Wet Bulb Globe Temperature:WBGT、熱中症指数)を活用するよう求めている。応急処置を施しても症状が改善しない場合は、直ちに救急要請するよう呼び掛けている。
WBGTは、気温だけでなく湿度と地面からの輻射熱も考慮した暑さの指標。提言では、汗腺の発達や自律神経が未熟で輻射熱の影響を受けやすい小児については、WBGTのモニターの有無にかかわらず熱中症を容易に起こしやすいことを認識すべきとし、無風の環境ではWBGT計の値が低くなることにも注意を促している。
また、小児に関しては、環境省ハンドブックなどで示されている目安よりも厳格な対応(表)が必要と指摘。WBGTが28℃(厳重警戒)以上の場合は、全ての授業での運動や課外活動、空調のない屋内での活動を中止することが望ましいとの見解を示している。
表 小児の運動可否の判断基準(救急医学会提言)
気温 (参考) |
WBGT (暑さ指数) |
対応 |
35℃以上 |
31℃以上 |
原則全ての授業での運動や課外活動を中止するのが望ましい。屋内であっても空調のない部屋での活動は避ける |
31~35℃ |
28~31℃ |
原則全ての授業での運動や課外活動を中止するのが望ましい。屋内であっても空調のない部屋での活動は避ける。運動競技会などでやむをえない場合は適切な医療機関の指導を受け、十分な準備の下で実施を検討する。その際も十分な配慮(20~30分程度の間隔での頻繁な水分・塩分補給と休憩)を義務化する |
28~31℃ |
25~28℃ |
十分な配慮(20~30分程度の間隔での頻繁な水分・塩分補給と休憩)を行った上で、屋外活動を実施すべき |
24~28℃ |
21~25℃ |