No.4919 (2018年08月04日発行) P.63
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2018-08-01
最終更新日: 2018-07-31
1日に何度も発作のような咳がでる。刺激物を食べたり、大きく息を吸い込んでも、喉を外から圧迫しても咳がでる。むせ返るような感じで、長く続くと窒息感が出現する。そんな症状が1カ月半も続いている。
ずっと同じ状態というのではない。良くなったと思ったらまた悪化、というのを繰り返している。ただ、これは自然経過というよりは、生活の問題かもしれない。
この1カ月ほど、学外での講義や講演がやたらと多かった。マイクがあるんだから小さな声で話せばいいのだけれど、興が乗るとつい大きな声になる。その後、必ず調子が悪くなる。
恒例の義太夫おさらい会が近いので、お稽古もせんならん。今回は「太功記十段目・尼崎の段」の真ん中あたり「♪妻は涙にむせ返り~」から始まるのだが、語りながらむせ返るように咳き込んでたら世話がない。ちょっと良くなった時、誘われるがままにカラオケに行ったのもあかんかった。客観的にみたら、完全にアホである。
感染症なら3~4週間もたてば治るだろうと思っていたけれど、一向におさまらず。さすがに心配になって、知り合いの耳鼻科医に尋ねたら、診察もせずに、年寄りにはよくあることとあっさり見捨てられた。
ポリープとかがあったらイヤなんで、知り合いとは違う耳鼻科を受診したら、今度はちゃんと診察してもらえた。でも、原因はわかりませんねとのこと。ついでだからと受けたアレルギーの検査ではスギ花粉症やったけど、そんなん季節外れやんか。
なんとか飴、とか、なんとか散を頻用している。一時的にはすっとして咳がおさまるようだが、そう長続きしない。咳止めといえば古典的なコデインしかないことには驚いた。もっとええ薬を開発してくれよ。
84歳で亡くなった祖父は、晩年、同じような咳をしていた。そういえば、枕元に痰壺を置いてたなぁ、とか思い出して、ネットで検索してみたけど、売られていないようだ。まぁ買う気もないけど。
「今では信じられないと思うものランキング」では、痰壺が堂々の1位。ホーローびきの痰壺ってちょっと懐かしいけど、中味のおぞましさを考えたら、確かにそうかもしれんですね。そんなことより、夏休みに高い山へ行く予定なので、それまでに咳が治ることを祈るばかりのこの頃です。
なかののつぶやき
「遅ればせながら、『万引き家族』観てきました。役者さんがみんなすごくうまいし、とてもいい映画であることはわかるんですけど、状況が特殊すぎて、いまいち感情移入できませんでした。わたしだけですかねぇ、そんなことを思うのは。是枝監督が家族を描いた映画としては、『奇跡』、『そして父になる』、『海街diary』の方がずっと好きやなぁ」