現在、多くの学会がある中で、1カ月の間に徳島市で2つの学会が開催されたのは、初めてであった。2017年6月15〜17日には、徳島大学心臓血管外科の北川哲也教授が「静脈学―Its Diversity and Innovation」をテーマに、第37回日本静脈学会を開催された。私もこの学会で発表し、座長より質問されたことに対して、すべて回答をして納得して頂いた。さらに、6月28〜30日には、徳島大学胸部・内分泌・腫瘍外科の丹黒 章教授が「チームのちから」をテーマに、第42回日本外科系連合学会を開催された。なお、私は学会に出席して発表することが好きで、ドイツ外科学会にも足を伸ばしている。
学会場は、両学会とも「あわぎんホール=徳島県郷土文化会館」であった。私は以前にこの両学会を会長として主宰したこともあり、かなり興味を持って参会した。昨今は、会員数も増加して盛況な勢いをもって行われた。
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学会は、型どおりに終了したが、両学会の懇親会で行われたのは、何といっても阿波おどりであった(図1)。初心者にはプロが教えてくれた。最初に来られたのは、阿波おどり33連ある中で徳島では有名な岡連長率いる「娯茶平」であった。この連の岡代表は、今までに天皇陛下の前で3回阿波おどりをご披露されたことや海外で公演したことでも有名であり、その男踊りは格別である。中腰で両腕の送りが非常に艶やかである。これはちょっと真似ができないほどのものであった。
また、後者の学会の初日に阿波おどりのアトラクションがあり、出て来られたのはまた「娯茶平」のメンバーであった。この学会では、会長である丹黒教授が踊りの衣装で出てきているので、まさにやる気満々であった。既に徳島に10年間住んでいるだけあって非常に踊りがお上手である。手には提灯を持ち、岡代表と丹黒会長との踊りは、まさに同じ連で踊っている者同士であるかのようであった(図2)。次の日も、会員懇親会のアトラクションでは「殿様連」がやってきて、自分たちの踊りの終了後に、われわれに踊りを教えて、その後は会場全員で踊り続けた。
この阿波おどりは、天正14(1586)年に、蜂須賀家の城主が許可をしたことに始まり、歴史は古く今年で432年になる。これには、三味線、太鼓、鉦鼓、篠笛などのお囃子で二拍子のリズムに合わせて踊る。毎年、8月12~15日の4日間、18時から夜半まで、4箇所の桟敷席(前売り料金がS席:2000円、A席:1800円、B席:1600円、C席:800円)で阿波おどりを観覧できるようになっている。毎年130万人以上の人が県内外から訪れており、踊れる人であれば「にわか連」に入って踊ることも可能である。
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徳島では眉山が有名で、標高290mの山頂までの距離780mをわずか6分で結ぶロープウエーがある。これは阿波おどり会館の5階から出ている。昭和32(1957)年開業以来、今年で61年という長い歳月が経過しており、1台6〜7人収容できる小さなゴンドラ2台がセットとなっている。2016年の1年間に眉山ロープウエーを利用して眉山を訪れた人は、夏場が多く18万9000人もいたようである。
山頂からは、徳島の全域や吉野川、新町川、さらには淡路島や紀伊半島などの素晴らしい風景が眺められた。私は、今やこのように学会を通して周りの景色を散策するのが、楽しみのひとつにもなっている。