医療関係22組織(41団体)で構成する被災者健康支援連絡協議会(代表=横倉義武日本医師会会長)が8月28日に開かれ、7月に発生した西日本豪雨の被災状況や今後の課題について被災県医師会(岡山県、広島県、愛媛県)、医療団体、関係省庁が共有した。
岡山県医師会の松山正春会長は、被害の大きかった真備地域の医療機関の状況について説明。7月29日にまび記念病院駐車場で大型トレーラー診療バスが設置され、診療を再開した。8月からは複数の診療所がコンテナなどを利用した仮設診療所を設置し、診療を開始。その一方で、再開の見通しが立っていない診療所も存在するという。今後の課題については、「医療機関再開に向けて最もネックになっているのが資金」と強調。厚生労働省や経済産業省が所管する補助金事業の情報提供も行っているが、書類の複雑さや申請から交付までの期間などに不安の声が上がっているとした。
愛媛県医師会の村上博会長は、医療機関の状況について、「河川の氾濫で水没した1施設は再開できていない。そのほかの医療機関は保険診療が可能になっている」と報告。また、災害時に多くの医療機関で診療が停止となった理由について、連絡手段の確保と水の確保ができなかったことが原因だと分析し、「水を確保できれば、ほとんどの医療機関で診療が再開できると分かった」との考えを示した。
避難所の様子については「東日本大震災時に比べると段ボールのベッドや仕切りなど、設備はよくなっている」と報告。村上氏は「避難所の巡回診療は最も重要」としつつ、避難所に入らない人もいることから、避難所以外で医療ニーズに応える仕組みづくりを求めた。その上で、メディアの報道量やアクセスのしやすさによって、支援物資の量や復旧状況に「格差が発生している」と強調。「プッシュ型で全世帯を調査して回るようなシステムが必要だ」と述べた。
日本精神科病院協会の渡路子氏は、各支援団体間での避難所活動の連携を図るための災害診療記録・災害時診療概況報告システム「J-SPEED」の集計結果(7日時点)を報告した。J-SPEEDを入力した医療救護班は、災害派遣医療チーム(DMAT)、災害派遣精神医療チーム(DPAT)、日本医師会災害医療チーム(JMAT)、日本赤十字社など。報告によると、広島県の対応症候で最も多かったのは創傷(27%)。次いで、外傷・熱傷以外の皮膚疾患(26%)、災害ストレス関連諸症状(17%)だった。対応数は発災から8日目に急増し、10日目にピークを迎えたという。
岡山県の対応症候の最多は外傷・熱傷以外の皮膚疾患(24%)。創傷(18%)、災害ストレス関連諸症状(12%)と続く。対応数は発災から9日目に急増。10日目にピークを迎え、その後徐々に減少したという。