政府の経済財政諮問会議が5日に開かれた。伊藤元重学習院大教授ら民間議員は、2019年度に高齢者人口の増加率が一時的に鈍化するとして、19年度予算編成における社会保障費の自然増を18年度の5000億円よりも抑制するよう提言した。政府全体での自然増は概算要求段階で6000億円となっており、1000億円以上の削減を求めた形となる。
同日の会合で民間議員は、19年度における65歳以上人口の増加率が0.9%と18年度(1.3%)を下回り、75歳以上人口も増加率2.9%と18年度から横ばいになるとの推計資料を提出。人口動向の面から、自然増のさらなる圧縮が可能との見方を示した。
6月に閣議決定された「骨太方針2018」では、19~21年度を、社会保障改革を軸とする「基盤強化期間」と位置づけており、社会保障費については21年度まで「高齢化による増加分に相当する伸びに収めることを目指す」としている。政府は年内にも新たな改革工程表を策定し、全世代型社会保障の実現を目指す。
茂木敏充経済再生担当相は会議終了後の会見で、医療分野で重点化する取り組みとして、「糖尿病」「高齢者虚弱」「認知症」の3つの予防対策を挙げ、保険者へのインセンティブ措置についても強化する考えを示した。