診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は6月13日、回復期リハビリテーション病棟を巡り議論した。回復見込みのある患者に集中的にリハビリを行う回リハ病棟の本来役割に照らし、FIM利得(退棟時のFIM―入棟時のFIMで算出)がマイナスあるいは0の患者が多くの施設で存在することや、リハビリテーション実績指数の除外対象に該当する患者の割合が全施設で基準値の3割を超えることなどが問題視された。
回リハ病棟の施設基準では効果的なリハビリの提供を担保する仕組みとして、アウトカム評価を導入。「入院料1」ではリハビリテーション実績指数が40以上、「入院料3」では35以上であることが求められる。
リハビリテーション実績指数は退棟患者のFIM利得などから求めるが、一定の患者を計算式から除外できる規定も設けられている。具体的には、▽入棟時のFIM運動項目の得点が20点以下、▽入棟時のFIM運動項目の得点が76点以上、▽入棟時のFIM認知項目の得点が24点以下、▽入棟時の年齢が80歳以上―のいずれかに該当する患者は、医療機関の判断で各月の入棟患者数の3割以下の範囲で除外することが可能だ。
だが、回リハ病棟の退棟患者約80万人のDPCデータを施設単位で集計した結果によると、除外項目のいずれかに該当する患者の割合は全施設で4割を超過。FIM利得別の患者分布をみるとFIM利得0の患者が多く、FIM利得マイナスの患者も存在する。厚生労働省は「リハビリテーション・栄養・口腔・連携体制加算」の施設基準を引用して、仮に「入院時と比較してADLが低下した患者の割合が3%未満」をカットオフ値に設定した場合、多くの施設が基準を下回るとの試算も示した。
リハビリの提供単位とFIM利得の関係性も分析した。2024年度診療報酬改定では回リハ病棟における「運動器リハビリテーション料」の算定を1日6単位までに制限する見直しが行われた。6単位を超えるリハビリを提供してもADLに明らかな改善がみられなかったためだが、分析結果によると廃用症候群リハビリも運動器リハビリと同様、1日7単位以上提供した場合のFIM利得が比較的小さいことが判明。病棟における廃用症候群リハビリの実施割合が比較的多い施設があることも明らかになった。