中央社会保険医療協議会総会は5日、来年10月に予定される消費税率10%への引上げに伴う診療報酬改定の方針をまとめた「医療機関等における消費税負担に関する分科会」の「議論の整理」を了承した。分科会で診療側、支払側の双方が指摘した「診療報酬による消費税補塡の限界」については記載が見送られた。
「議論の整理」では、診療報酬本体の補塡は基本診療料(初・再診料等)への上乗せを中心に対応すると明示。個別項目については、基本診療料との関係上「上乗せしなければ不合理になると思われる項目等」に補完的に上乗せするとした。また、病院の補塡における初・再診料と入院料の比率を変え、入院料の割合を高めるなど、8%引上げ対応時から配点方法を見直す。
分科会では、配点方法の見直しを行っても、補塡のバラツキを完全に是正することはできないとして、診療側、支払側がともに「診療報酬による消費増税対応の限界」を主張していたが、議論の整理では「限界」の記載は盛り込まれなかった。ただし、10%引上げ対応後の補塡状況について「必要なデータが揃い次第速やかに、かつ継続的に調査する」との方針が示された。
報告を受け、支払側の吉森俊和委員(協会けんぽ)は「(10%引上げ後も)さらなる増税の可能性もある。医療関係者は将来的な消費税対応について議論を深めてほしい」と要望。診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会)は、厚労省による過去の補塡状況調査にミスがあったことから「今後、具体的な数値が出てくると思うが、計算の根拠を細かく示してほしい」と求めた。