文部科学省は14日、東京医大の不正入試問題を受けて実施した医学部入試に関する緊急調査の最終まとめを公表し、9大学を不適切な事案、1大学を不適切である可能性の高い事案と認定した(表)。今後、公正な入試のあり方について議論する検討会を設置する方針も明らかにした。
文科省は8月以降、医学部入試に関する緊急調査を実施。10月には東京医大を除く80大学を対象に訪問調査も開始した。10月に公表した調査の中間まとめでは、複数の大学で不適切な事案が明らかになったことを発表するとともに、大学自らが公表するよう要請。その結果、岩手医大、東京医大、昭和大、日大、順天堂大、北里大、金沢医大、神戸大、福岡大の9大学は、不適切な取扱いがあったことを自主的に公表し、今後は行わないことなどを発表。一方、聖マリアンナ医大は文科省の「不適切である可能性が高い」との指摘について否定する見解を公表した。
最終まとめでは、自主的に公表した9大学の入試について「不適切な事案」として記載する一方、疑いを否定している聖マリアンナ医大については「不適切である可能性の高い事案」として記載し、速やかに第三者委員会を設置して、文科省の指摘事項について調査を行うよう指導していることを紹介した。
同日の閣議後会見で柴山昌彦文科相は、不適切な取扱いにより不利益を被った受験生を追加合格にするなどの対応が各大学で進んでいることを紹介した上で「今後の入試での募集人員を減らさざるをえない事態が生じている。非のない受験生に影響が起きていることは大変遺憾」と述べ、「定員の問題は速やかに情報提供に努めるなど、受験生の立場に立って、迅速かつ丁寧に対応してほしい」と要請した。
さらに、「今後、大学関係者や法曹関係者からなる検討の場を設けて、他の学部も含めた公正な入試のあり方について議論していく予定」と明言した。