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乳児血管腫治療の最新知見

No.4943 (2019年01月19日発行) P.52

石田創士 (徳島大学形成外科・美容外科)

橋本一郎 (徳島大学形成外科・美容外科教授)

登録日: 2019-01-20

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【プロプラノロールシロップによる新しい治療】

乳児血管腫(いわゆる苺状血管腫)は,乳児で発生頻度が最も高い良性腫瘍である。ほとんどは問題を残さずに自然消退するが,中には発生部位による機能的問題や,顔面などで瘢痕の残存による整容的問題を残す場合がある。その中で乳児血管腫の早期退縮が得られる新しい治療法としてプロプラノロール内服療法が2008年に報告され1),高い有効性を示した報告2)が多く出ている。

わが国では,16年9月にプロプラノロールシロップ(ヘマンジオルシロップ小児用0.375%)が販売開始されて保険治療が可能となった。また「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン」3)が17年3月に改訂された。「乳児血管腫に対してプロプラノロールは安全で有効か?」というCQに対して,「慎重な観察の下に投与されるのであれば,プロプラノロール内服療法は乳児血管腫に対し第一選択となる可能性のある薬剤である」と記載されており,推奨の強さは1(強い)でエビデンスA(強い)となっている。

本治療は,血管腫の治療経験が豊富な医師により慎重に行われるべきであるが,比較的安全で外来で治療可能であるためさらに広まると思われ,顔面などで瘢痕による整容的問題を生じる患児が今後は減少することが期待される。

【文献】

1) Léauté-Labrèze C, et al:N Engl J Med. 2008; 358(24):2649-51.

2) Léauté-Labrèze C, et al:N Engl J Med. 2015; 372(8):735-46.

3) 「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班:血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017 第2版. 2017.

【解説】

石田創士,橋本一郎 徳島大学形成外科・美容外科 *教授

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