厚生労働省の「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」(遠藤弘良座長)は25日、都道府県が選出する「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」の要件を了承した。医療通訳者や電話通訳、デバイスなどの利用により多言語対応が可能であることを求める。厚労省は今年度中にも都道府県に対し、選出を依頼。2019年度以降、集まった医療機関の情報をリスト化し、英語など外国語で閲覧できる形で公表する方針だとしている。
拠点医療機関は重症例と軽症例の2区分。重症例を受け入れ可能な医療機関は、2次以上の救急医療機関から都道府県単位で選出する。軽症例を受け入れ可能な医療機関は、診療所や歯科診療所も対象とし、すべての2次医療圏から選出する。
森隆夫構成員(日本精神科病院協会副会長)は、「精神科は2次医療圏ではなく精神科医療圏をもっている」として、対応を求めた。森構成員はまた、錯乱状態の訪日外国人を精神保健福祉法に基づき強制入院や隔離、拘束するケースで、諸外国からの理解が得られないことを問題視。最近では、精神科病院に運ばれた患者を本国に帰す際、航空会社から飛行中に患者が暴れて引き返した場合には病院が損失額を負担するよう求められた事例があったという。厚労省は、省内で対策を検討する考え。