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小児がん病棟のinfection control

No.4945 (2019年02月02日発行) P.52

神野俊介 (九州大学グローバル感染症センター/小児科診療講師)

古賀友紀 (九州大学地域連携小児医療学/小児科准教授)

大賀正一 (九州大学小児科教授)

登録日: 2019-02-03

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【ASPの拡充,改善に努めていくことが重要】

小児がん病棟では,がん化学療法や造血幹細胞移植で好中球減少をきたす患児が多く,広域抗菌薬を長期間投与せざるをえない状況にしばしば陥る。筆者らは,発熱性好中球減少症に対する初期抗菌薬について,2012年から約1年間,第4世代セフェム系,ピペラシリン/タゾバクタム,カルバペネム系またはニューキノロン系を1カ月間隔で変更する抗菌薬サイクリングを行い,ESBL産生菌を含むグラム陰性桿菌と腸球菌の菌血症発生率が有意に低下することを報告した1)

近年,薬剤耐性菌が世界的に増加し,抗菌薬の適正使用(antimicrobial stewardship program:ASP)への取り組みが実践されている。わが国でも16年に政府から薬剤耐性対策アクションプランが,17年には学会から抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンスが公表され,18年の診療報酬改定では抗菌薬適正使用支援加算が新設された。当院の小児がん病棟では,11年度より感染制御チームが抗菌薬使用に際して治療介入とフィードバックを行い,前述の結果もふまえて症例ごとにantibiotic heterogeneityを保つように調整している。

近年,小児がん拠点病院の整備が進んでいる。専門医が連携して細やかな指導を行いながらASPを拡充し,その改善に努めていくことが重要である。

【文献】

1) Teranishi H, et al:J Infect Chemother. 2017;23 (7):463-7.

【解説】

神野俊介*1,古賀友紀*2,大賀正一*3  *1九州大学グローバル感染症センター/小児科診療講師 *2九州大学地域連携小児医療学/小児科准教授 *3九州大学小児科教授

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