本物の鉄道車両に囲まれた眼科診療所の院長として2010年に開業した。根っからの鉄道好きで、「電車を敷地に置いてもいいから開業しないか」と医療法人の理事長に声を掛けられたのがきっかけ。日本全国の鉄道会社に問い合わせ、ひたちなか海浜鉄道からキハ223を購入。定期的なメンテナンスには数百万円の費用がかかるが、それでも建物の外に車体を置くのは、屋根や車輪を含めた全身を見られるようにするためだ。
敷地内には現在、流山線2両と国鉄の電気機関車EF66形の頭部も展示している。次に狙うのは思い入れのある阪急電鉄の車両だ。
「自分で車両を持つっていいですよ。開業前には中でご飯を食べて旅行気分を味わったり。小さい頃から球体より直方体が好きで、車ならバスが好き。でも眼球って丸いけどね」
診療所の三本柱は網膜硝子体手術と小児眼科、救急医療だ。昨年の手術件数は全体で4634件と、開業5年目にして全国の診療所でもトップクラス。その8〜9割を院長自ら執刀し、麻酔科医と全身麻酔の手術も手がける。特に得意とするのが、硝子体や貯留した血液・血漿といった液体成分などを除去する網膜硝子体手術。高度な技術が求められるが、昨年の実績は712件に上る。全国クラスの実績を誇る手術の秘訣を尋ねたところ、「基本に立ち戻って常に丁寧にやること。手術件数は多いけれども、一つ一つの積み重ねだから、1人で4000件やるのは結構大変」と笑う。
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