この写真はかかりつけの子ども達に「おしごと体験」を提供している時のもので、私たちのめざす「患者さんと友達になる医療」のシンボル的な活動のひとつです。
私がなぜそのような医療をめざすようになったのかを一緒に振り返ってみて頂いてもよろしいでしょうか?
私は小児科一筋28年になります。サブスペシャリティとして国立精神神経センター武蔵病院で小児神経科のレジデントとして学ばせていただき、重症心身障害児と呼ばれる寝たきりの子ども達やそのお母さん達とたくさん出逢ってきました。そしてその患者さん達とどう接すべきか悩んできました。
レジデントを修了し大学に戻ってしばらくするとショッキングな出来事がありました。ICU入室中の他科管理のお子さんの脳死判定を頼まれたのです。神経学的診察、脳波、ABRなど施行しましたが残念ながら脳死と判定せざるをえないものでした。そしてその説明の際に脳波を示そうとするとお父さんから「お前たちは何でそんなもの持ってくるんだぁ」と強いお叱りを受けたのでした。ご家族は深い悲しみを前にして、私たち医療者に脳波などではない寄り添う気持ちをお求めだったのではないでしょうか?
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