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人生110歳時代の夢と課題[特集:医療の近未来予想図]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.37

桑島 巖 (臨床研究適正評価教育機構 (J-CLEAR)理事長)

登録日: 2019-05-03

最終更新日: 2019-04-25

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  • 人工知能(AI)、再生医療、ゲノム治療、免疫治療など医学研究は急速に進歩しており、これまで難病といわれた疾患が人類の叡智を結集することで克服されつつあり、近未来への夢は果てしない。しかし死の先延ばしの表裏一体として、高齢化という事象へ社会がどう対応するかが大きな課題である。

    人工知能(AI)

    まず診断分野では、患者が記載した問診からAIが想起すべき疾患から、それに必要な検査項目を指示する。それらの結果をAIが統合することで診断速度の迅速化と精度向上が図れる。診断が困難な症例に関してはすでに学会発表された症例報告からAIが類似例を提示することで診断を容易にするであろう。

    特にAIの威力が発揮されるのは、CT、MRI、内視鏡といった画像診断である。日本は世界でも群を抜いてCTやMRIの保有率が高いことからAIに読み込ませるデータは膨大であり、ディープラーニングを活用することでAIによる自動画像診断が普及し、放射線科や内視鏡専門医の不足を補い、かつその技術分野で世界をリードできる。細胞診もAIの導入によって病理診断医の不足を補うとともに診断の迅速化が期待できるし、皮膚科領域においては、画像所見をAIが自動診断することで診断の迅速化と皮膚科専門医の不足を補うことが可能となる。特に膠原病や肝臓疾患など内科疾患と関連した皮膚疾患の診断のヒントを得ることができる。

    治療においても、高血圧、糖尿病などの生活習慣病は問診や採血、心電図などの結果からリスクを評価することで、リスクに応じた適正な治療法がガイドラインを統合したAIによって提示され、医療の均質化を図ることができる。

    課題としては、ディープラーニングという膨大なデータを統合して結論に至るが、AIにその結果を出すに至った理由を求めることは難しく、誤診した場合に患者への説明でも「AIが診断しました」では通用しない。医師はAIに全面依存するのではなく、理論的根拠となる思考プロセスが求められる。

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